Re: 学園モノ 無間学園 6



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投稿者: 勇者ああああ @ 210.156.162.137 on 97/8/08 08:48:01

In Reply to: Re: 学園モノ 無間学園 5

posted by 勇者ああああ @ 210.156.162.137 on 97/8/08 08:46:59


「本間先輩?」
冬哉は、怪訝な表情で、階段の先を見上げ
ると、途中で足を止めた。
「来たか、冬哉」
剣道部の副主将である、三年生の本間容義
が、制服の腰のベルトに刀を吊るした、学園
の正装で、静かに立っているのである。
「こんなところで何をしてるんですか?」
冬哉は聞いた。
生徒会室に行くには、絶対に通らねばなら
ない階段は二つしかなかった。そのうちの一
つは、役員専用のもので、もう一つが、一般
生徒用だった。つまり、一般生徒用の階段は
一つだけであり、そんな物騒な階段には、誰
もいないのが常だった。
「黙って、抜きたまえ」
本間は、敢えて冷酷に、冬哉にそう言うと、
刀を抜いた。
「先輩」
冬哉は、躊躇した。
「二つに一つ……。お前には、そのどちらを
選択するかという、自由が与えられている」
本間は、青眼に構えたまま、静かに、一歩、
階段を降りた。
「本間先輩……」
冬哉は、柄に手をかけたものの、やはり、
抜く事は出来なかった。
「俺に斬られるか、俺を斬るか」
本間は、静かに一歩、また階段を降りる。
「今のお前に与えられた自由は、それだ」
「不自由すぎます、先輩」
冬哉は、柄に手をかけたまま、上げていた
左足を、一段下に下げた。
「その程度の自由でも、与えられることに感
謝しなければならない」
また一歩、本間は、階段を下りた。
「先輩」
冬哉は、耐え切れずに、抜いた。
「うおっ!」
同時に、本間の剣先が、一瞬、沈んだかと
思うと、空気を切り裂きながら、冬哉の眉間
に殺到した。