第一幕



[ このメッセージへの返事 ] [ 返事を書く ] [ home.html ]



投稿者: 遠山金三郎 @ tproxy.tky.threewebnet.or.jp on 97/7/20 00:02:59

In Reply to: サターンの金さん 第13回 プレリュード

posted by 遠山金三郎 @ tproxy.tky.threewebnet.or.jp on 97/7/19 23:58:12

(第一幕)
大工の棟梁・源さん(以下源)「こらこらこらぁ!そこの若けの。ぼやぼやしてんじゃねえ。しっかり働かんかい!」
ゲーマーの金(以下ゲ)「源さん、荒れてるねえ。なんか面白くねえ事でもあったのかい?」
源「おう、金さん。よくぞ聞いてくれたぃ。まったくどうもこうもねえぜ。俺たち江戸っ子ってのは、宵越しの銭はもたねえの知ってるだろ。それが恥を忍んで、日銭貯めて、買ったソフトがクソゲーじゃあ、荒れる気持ちもわかってくれるだろ。」
「まあ、わかんねえでもねえけどよ。源さん、よく調べて買ったのかい?最近は、ソフトの数も増えているし、中にはハズレってのもあるしな。」
源「てやんでぃ!俺だってバカじゃねえぜ。ちゃんとF通だかのレビューを参考にしてんだぜ!でもやってみたら、クソゲーだったんでぃ。俺っちの仲間の徳さんや、ゆ組の辰も嘆いたぜ。あーあ、こんなんが続くんじゃ、安心してソフトなんか買えねえぜってよう。」
「...。源さん、そのソフトちょっと貸してくれねえか?」
源「いいけどよ。しかし金さんも、物好きだね。」


サターン町奉行所にて
与力・脇坂(以下脇)「うわっ!御奉行、一体どうなされましたかな。これだけのソフトをもちこまれて。」
サターン町奉行・遠山金三郎(以下)「巷でクソゲーと呼ばれているモノだ。鑑識方へ回して置け。」
脇「また御奉行も物好きな。そんなことはメーカーの手抜きでございましょうに。」
「それにしては尋常ではない。爆発的に増えておる。」
脇「それならばプレステ町でもいっぱいあるではござらぬか。」
「いや。それが判っておるのはあまりおらぬのじゃ。そもそもサターン町とプレステ町では、町人気質が違うし。」
脇「と申されますと?」
「プレステ町でのクソゲーの取り扱いは非常に淡泊じゃ。右から左に流れて終いじゃ。ところが我がサターン町では、なぜかクソゲーを弄ぶところがあってな。クソゲーコレクターを自慢するモノさえいておる。」
脇「悲しきサターン人間の性でございますな。」
「たとえば佐多馬画屋の雑誌などを見ると解るが、サターンソフトは1位から最下位までご丁寧に過去の全ての平均点を掲載しておる。じゃからクソゲーは堂々とその恥さらしな評点を白昼の下に曝されるのじゃ。これがプレステの雑誌などになると、今年の投票に限っており最低投票数という敷居も高くして有るから、クソゲーは足切りされて無かったも同然、完全シカトされておるのじゃ。
 じゃからしてサターンにおけるクソゲーというのは、メーカーにとって死活問題となるのじゃ。」
脇「厳しい世界でございますな。」
「しかし一本でも名作・傑作を出せば、いつまでもそのメーカーの名は称えられるし、ユーザーも期待するのじゃ。例えばテクノソフトという会社は、サターンの初期にあれだけのクソゲーを連発しておったのじゃが、MDの過去の実績によりユーザーは見捨てることなく期待し続けていたのじゃ。」
脇「そして見事にその期待に応えてくれたのですな。」
「その通り!まこと暖かい世界であろう。」

(第二幕へ続く)