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投稿者:
みお @ max2-ppp9.kasai.sannet.ne.jp on 98/3/24 07:22:16
In Reply to: 小説「夜桜」5(長文)
posted by みお @ max2-ppp9.kasai.sannet.ne.jp on 98/3/24 07:20:24
翌朝。
「ふわあ〜、よく寝た…………ええっ!?」
大神は飛び起きた。
「何で宿直室なんかに………」
(でもそう言えば、昨日上野公園まで行ったんだっけ)
なんだかよくわからないけど、疲れる夜だったな………
ぼんやりそんなことを考えていると、あやめが入って来た。
「おはよう、大神くん。」
「おはようございます」
「気分はどう?」
「え?……あ、全然大丈夫ですけど…」
「そう、ならよかった。疲れてたみたいだから」
「はあ……………」
昨日のことを思い出して、ぞっとした。
(思い出したら、また体がだるくなってきた……)
「俺、部屋で寝直して来ます……」
もそもそと布団を出た。布団を片づけようとする手を、あやめが止めた。
「いいわ、あとは私がするから」
「でも………」
「今日一日、ゆっくりお休みなさい。でないと、明日に差し支えるわよ」
「…………はい」
大神は渋々宿直室を出た。
「本当にいろいろ…すみません」
パタン
宿直室で一人、あやめは首を傾げていた。
「あんな夜遅くまで、いったい何してたのかしら……?」
そのころ大神も自室のベッドで、昨日起こった様々な出来事を、ぼんやりと思い返していた。
「桜の木があんなこと…するだろうか普通……」
寝返りを打つ。
「…………………」
再び、寝返りを打つ。
「わかるのは…俺が歩いて銀座から上野まで往復したということ。実際に、疲れたということだけか……」
頭から布団をかぶった。真っ暗な空間に、なま暖かい空気が広がる。
「何にしても……得したことはない、かな………」
窓の外から、小鳥のさえずりが聞こえていた。
終
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