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かとおおお @ 202.228.225.73 on 98/1/30 22:38:35
In Reply to: 3、を選んだ方へ
posted by かとおおお @ 202.228.225.73 on 98/1/30 22:23:12
「そうですね……このままじゃ、ここで夜を明かすことになっちゃいますし……。一度京都に戻った方がいいんじゃないですか」
「そうね、それが賢明かもね。京都で宿を探しましょう」
とっぷりと日の暮れた京の町。二人はやっと空いてる旅館を見つけることができた。
「今日は疲れたわね」
「なかなか、空いている宿が見つかりませんでしたね」
「そりゃあ、この突然の雪で足止めをくったお客さんはたくさんいるわよ。わたしたちはまだ運がよかったほうじゃない?」
「あの〜、夕飯のお膳はこちらに運ばせてもろてよろしおすか?」
「ええ、わたしもここでいいわよ。あ、そうそう。お銚子を二本お願いね。たまには大神くんと差し向かいで飲むのも悪くはないわ」
「あ、あやめさん」
「さあさ、一杯いかが?」
「あっ、すみません。それじゃ遠慮なく……」
「ふふふ、こうやっているとわたしたちって、新婚旅行にやって来た夫婦みたいね」
「ぶっ! あやめさ〜ん。からかわないでくださいよ」
「あら、わたしはまじめよ。でも、大神くんはわたしより花組の誰かさんの方がいいんでしょ」
「い、いや。そんなことないですよ。(花組のみんな、心配してないかな…)」
「こおら! 今誰のことかんがえてたの?」
「えっ!? もちろんあやめさんのことですよ」
「嘘ついてもだめよ。大神くん、すぐ顔に出るんだから」
「そ、そうですか?」
「うふふ、でもそれが君のいいところかもね」
「じゃ、あたしは向こうの部屋だから…。おやすみなさい、大神くん」
「おやすみなさい、あやめさん。
……さて、俺も寝るか。初夢にあやめさんの夢を見られるといいな……」
「お客さん? お休みのところ、えろうすんまへんが……」
「ああ、なんだい?」
「実は、相部屋をお願いできまへんやろか。この雪で往生して、どうしてもってお客さんが来てはりますのや」
「ああ、俺は別にかまわないよ。困った時はお互いさまじゃないか」
「おおきに、助かります。ほな、さっそく呼びますよって……。
おおーい、お客さーん。上がっとくんなはれー」
「ふぇ〜っふぇっふぇっふぇっふぇ! 今頃宿が見つかるとは、わしらはらっきーじゃぞい!」
「こ、この声は?」
「社長…いや、天海様。よかったですね!」
「うがーっ、中は暖かいぞーっ!」
「貴様らは、演劇集団・黒之巣会!?」
説明しよう。演劇集団・黒之巣会とは、帝都一のゼネコン「テクノクラート・クロノス」の社長天海が趣味で始めた劇団で、団員には元営業部長の青木瀬津名、元土木部長の白銀野良雪、元社長秘書の紅野魅力らがいる。
「おや、大神さんじゃないですか。この前の合同公演の節はどうもお世話になりました」
「どうして京都なんかに!?」
「地方巡業ですよ。神社の境内とかにテント建てて芝居やってるんです。でも今日はこの雪でテントがつぶれそうで…、しかたなく宿をとることにしたんですよ。劇団員が多いので苦労してます」
「多いって……まさか?」
「おお、そうじゃ。皆の者入って来ぬか。遠慮はいらんぞ!]
(ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ……)
「ゲッ、脇侍の大群!?」
さてさて、大神さんは無事あやめさんの夢を見られたのでしょうか……?
(完)

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