[ このメッセージへの返事 ]
[ 返事を書く ]
[ home.html ]
投稿者:
編隊飛行 @ sisetu-45.jimut.kyutech.ac.jp on 97/12/17 13:53:38
In Reply to: Re: 1分の1フィギュアを買ったとしたら? その2
posted by 編隊飛行 @ sisetu-45.jimut.kyutech.ac.jp on 97/12/17 12:58:48
とりあえず外へと出たものの、みんなの視線が突き刺さるように痛い。
白い目・・・とはこのことをいうのだろう。そりゃそうだろう。白昼堂々と
棺桶を背負った若者が、大都会の中を歩いているのだ。TVの取材車
が出てきても不思議ではない。
駅まで約1.0km。あの模型屋、なんで駅前になかったんだ!!
普通ならウィンドーショッピングでもしながら駅までぶらぶら歩くところ
だが、やはり、タクシーしかないだろう。来た。手を挙げる・・・。
が、無情にも通り過ぎてしまった。2台目、3台目・・・。だめだ。
ん?ラッキー♪1台止まってたぞ。僕はタクシーへとかけよる。とは言って
も背中の荷物が重すぎて、ゆっくりと歩くしかなかったのだが・・・。
「(こんこん!)すみませ〜〜ん!!」
「あ?だめだめ。にいちゃん。そんなでかい荷物、乗るわけないでしょ?
トラックかなんか借りてこなきゃ・・・。」
そうだった。車の幅なんて1.7mしかないのだ。2.2mのカンナの箱が
トランクに収まるわけがない。タクシーにルーフキャリーが付いてるわけ
ないし・・・。絶望が僕を襲った。
「そ、そうですね。たはははは・・・・・・。」
しょうがない。たったの1.0kmだ。諦めて駅へと歩く。
駅。もう僕の体は全身汗だく。膝もがくがく。
駅の天井が高くて良かった・・・。そんなことを想いながら切符を買って改札口へ。
しかし、ここでも不幸が待っていた。
「お客さん。その荷物は大きすぎて手荷物扱いじゃ運べませんよ。向こうに日通の
窓口がありますから、貨物扱いで送ってください。」
が〜〜ん。持って帰れないのか?・・・。僕の心の中のなにかがガラガラと音をた
てて崩れていく。しかし、気を取り直してとりあえず貨物の取扱窓口に相談だ。
「か、棺桶ですか?死体は入ってないでしょうね?死体は警察の運搬許可がないと
運べないんですよ・・・。ん?中身は人形・・・。にしてはすごい箱ですね。えっ?
サクラ大戦のキャラ?せ、戦争で死んだ人ですか?」
50歳を過ぎた頃の人の良さそうな係員。しかし、サクラ大戦なんてゲームソフトは
全く知らないようだ。完全に勘違いされてる。
「ま、死体じゃないなら運べますけどね。でも・・・。サイズが全て規格外ですね。宅配
のペリカン便は使えませんから・・・(ピポピポピポッ)15,000円かかりますね。
あさっての午後到着便です。」
「えっ?今日中には配達できないんですか?」
「速配ですか?・・・駅留めならなんとか・・・。料金が高くなって・・・25,000円ですね。」
が〜〜〜〜ん。今回こそダメだった。一気に自分が崩れていくのが判る。
「もういいです・・・・。担いで歩いて帰ります・・・。」
家までほんの20kmだ。歩いて5時間・・・。カンナを背負い直すととぼとぼと歩き
始めた。
5時間・・・。100kgの荷物を背負って歩いた僕の全身からは、水分という水分が
抜けきったようだった。特に、両方の目からは止めどなく塩辛い水が流れていたこ
とは言うまでもない。
家に入れるときの苦労はさほどでもなかった。ワンルームマンションの8階。
エレベーターが付いていて助かった。
エレベーターのドアは、幅80cm、高さ2.1m。斜めにすれば収まった。一つくらい
いいことがあっても罰は当たらないだろう。
そして・・・・一人、部屋の中で、この箱の蓋を開けたときの感動・・・。
苦労した10倍・・・いや、100万倍は素晴らしいこの感激!!!!!
もったいなくて、誰にも話すものか!!僕だけの幸せ。
この感動は一人だけのもの・・・。
ん?聞きたい??ダメ。今は一人だけで楽しむの。
機会があったら、あの箱の中で手を組み花に包まれ(ホントに棺桶のようだった)
眠っていたカンナを抱き起こしたとき、大きな瞳がぱっちりと開いたときの感動を
お話ししても良いけど・・・。その後の、今日のこの苦労に比べればほんのちょっぴり
の苦労話も交えてね(^^;;
たぶん、その機会はないでしょう(笑)
それでは、こんな長文を最後まで読んでくれた方、ありがとう。
|