第三幕



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投稿者: ditto @ ykha119.tky.3web.ne.jp on 98/3/14 00:34:04

In Reply to: 第二幕

posted by ditto @ ykha119.tky.3web.ne.jp on 98/3/14 00:31:30

(第三幕)

義一の店から出た金治は、大二郎の後を追う。子供とはいえ油断は禁物、しかも今となっては唯一の大事な手がかりだ。金治は、気付かれぬよう慎重に後をつけた。
ふと、その子は立ち止まり、辺りを見回して人気(ひとけ)のないことを確認すると、一目散に駆け出した。
「(まずい、気付かれたか?)」
ドテッ!石にでも躓いたらしく、その子は転んでしまった。
小文太の息子・大二郎(以下大/font>)「う..う...、え、ええーん(;O;)。」
「おっと坊やどうしたい?ははあ、転んですりむいたようだな。」
大/font>「う、うっうっ...(;_;)」
「このままほっとくと化膿したりするかもしれねえ。よし、おじちゃんが医者の所に連れてってあげようか?」
大/font>「う...ん。」

−八丁堀・町医者朗の診療所−
小早川朗(さえ)(以下)「傷薬つけてあげたら、この子寝ちゃったわ。」
「あどけないもんだな。」
「でもこの子の親があんなことをしでかしたなんて...。」
「いや、まだそう決めつけた訳じゃないが、...」
「! この子の懐に手紙が!しかも奉行所宛の手紙」
「何だってえ!?


御奉行様
今私たち親子は三歩遠いところで悪い奴らに捕まって、人を危めるソフトプログラム作ることを強要されています。そんな恐ろしいことがどうしてできましょう?しかし作らなければ親子ともども殺すぞと脅かされ、仕方なしに...。でも今はまだ奴らの目を誤魔化し人を死に至らしめるようなプログラムは作っていません。しかし既に奴らもそのことに気付きはじめています。このままでは本当に死人が出ます。そうなる前にと、私は隙を見てこの子に手紙を託して逃がします。一刻も早く、悪い奴らを捕まえて下さい。

小文太


三歩遠いところ?...三歩トーイか!
読めたぜ、三歩トーイと言えば、玩具の老舗。だが、TVゲームを甘く見過ぎたために時代の波に乗れなかったところだ。」
「...」
「しかし今でも流通には強い影響力を持っている。店頭に並ぶ前に、ソフトを入手して中身をすり替えるくらいは可能だ。」
「...でも何のために。」
「再び玩具業界を牛耳ろうと、TVゲーム潰しの為にこのようなひでえことを仕組んだんだろう、許せねえ!しかしこの子が居なくなったとあっちゃ、小文太さんの命が危ねえ。一刻も早く...」
「罠かもしれない...。」
「え!?」
「正体はわからないけど、ここまで巧妙に仕組んできた奴らよ。こんな単純なことで謎が解けるなんて思えないの。これは奉行所...いや金さんを誘い出すための罠かもしれないわ。」
「朗...。いや、そんなことはありえねえはずだ。考えてもみな。俺はこの親子のことをたった今知ったんだぜ。俺達を罠にはめるっていうんなら、まずはこの親子が事件に関わっていることを報そうとするはずじゃねえか。しかしそれもなしに、いきなりこの手紙だけで誘き出そうとするかい?巧妙な奴らなら、そんな突拍子もねえ罠は張らねえんじゃねえか?」
「...そうね。」
「しかし、この子の親が捕まってるんじゃ迂闊にゃあ手を出せねえな...。」
「...あたしが忍び込んで救出するわ。」
「だが...。」
「大丈夫よ、こういう芸当はお手のものだし。」
「わかった、気ぃつけな。」
「日を改める余裕なんか無さそうね。今夜決行する。小文太さんを救出したら、平次親分のところに行かせる。そしたら、金さんはいつものように。」
「頼んだぜ!」
「ええ...。」



その夜、人目を避けて屋根伝いに飛び移る一つの影があった。

サターンの星・パープルムーン(以下)「(あれ以上は言わなかったけど、これはきっと罠よ。理由はないけど、女の勘ってやつかしら。金さんを危険な目に遭わせるわけには行かない。あたしが代わりに行かなければ...)」

自ら危険に身を投じる彼女、秘かに思う人のためとはいえ...。

「ここね。」
手紙にあった三歩トーイに着いた彼女は、塀を乗り越え音もなく庭に降り立った。

グルルルゥ...
「(ドーベルマンが放し飼いにされているということは、やはり何か疚しいことがあるのね。)」
BOWWOW!
バシッ!
キャイーン...

「さてと、この屋敷の中で人を捕らえておくようなところは...
あの土蔵が怪しいわね。...ん!?」
彼女は、土蔵の中に地下への階段を見つけ、気付かれぬよう静かに降りて行った。

しかし...
「あれが噂のパープルムーンか。なかなかやるようだな。」
その様子を陰から見ていた一人の大男がいたのだった。



バシッ!ベギッ!ゴン!
土蔵の地下にはやはり牢があった。
そこには三人の牢屋番が居たのだが、パープルムーンの前に悲鳴をあげる間も無く倒されてしまったのだった。
そして牢の中には、四十半ばと思われる一人の男が捕らえられていた。
「小文太さんですね?」
小文太(以下)「あ...あんたはもしやパープルムーン?」
「(コクッと頷き)今、牢から出してさしあげます。」
「は...はい。」
パープルムーンは、牢の鍵を探そうと、牢屋番の懐をあらためはじめた。しかし...
「無い...?」

「お捜しのものはこれかな?」
「!!!だ、誰!?」
「俺は、裏ゲーム界からの始末人。」
「裏ゲーム界!?」
「そして卜ラの穴で鍛えられた超エリート。」
「と、虎の穴!?」
「ははは、よく見ろ。卜はトではない、"うら"と読むのだ。」
「うららの穴!?ま、まさか裏ゲーム界の裏に掛けてるんじゃあ(¨;)」
「そして俺の名は、サンボ板井だ!
「サンボ?(三歩トーイだからサンボ?)やはり駄洒落攻撃か...マズイわね(ー_ー;)」



同じ頃、夜空を見上げ朗の安否を気遣う金治。
「ん?月が暗雲に隠れた。さっきまでは雲一つなかったのに...」