|  
 [ このメッセージへの返事 ]
[ 返事を書く ]
[  home.html  ]
 
  
 投稿者:
ノック  @ jyou23.kumagaya.or.jp on 98/2/26 23:21:35
 
In Reply to: 「第8回メッセージ文コンクール」 posted by 高山 比呂  @ ppp-y065.peanet.ne.jp on 98/2/26 07:07:10
 
Tさんへ
 
 もしかしたら、これが最後の手紙になるかもしれない。
 もしそうなったとしても、俺は決して後悔しない事をここに誓う。
 
 今までTさんには3回会ってもらったよね。俺にとっては、その全てが忘れられない想い出になるはずだよ。
 俺がTさんの側にいた時、俺がTさんを見ていた時、俺がTさんと話をしていた時。
 その時俺は何を考え、何を想っていたか・・・。
 今から回想しながら手紙を書いてみるよ。
 
 1回目は食事が目的だったね。
 不安と緊張の連続だったけど、想像以上に楽しかったんだ。
 その後、バッティングセンターに行って遊んだね。Tさんのバッティングを見ていて、その愛らしさに、俺の目に狂いは無かったと確信したよ。
 ゲームセンターで撮ったプリクラは、俺の宝物の1つとなる。
 俺はTさんの写真は持って無かったからね。まだどこにも貼る事は出来ないけど、気持ちが落ち着いたら、どこかに1枚だけ貼ろうと思ってる。
 エアホッケーとカーレースは、どちらも俺が勝ったね。
 でもその時の俺は、勝負になんかこだわって無かったんだ。
 Tさんの近くで、俺がいかに楽しめるかだけを求めていた。
 本当に楽しかったよ。世界中の誰よりも、Tさんと2人で遊んでいる時が一番楽しい。これは間違いないよ。
 その後の約1時間半のドライブ。何を話したかはあまり覚えてないんだ。
 運転に気をとられていたってのもあるけど、できるだけ自然にTさんを見つめる機会をうかがっていたんだ。
 暗がりの中で見るTさんの横顔は、俺をある衝動に駆り立たせた。
 抱きしめたかった。何も話せなくてもよかった。ただ一言、「好きだよ」って言いたかった。
 
 2回目は初詣だったね。
 ちょっと早く来過ぎちゃったから、ジュースを飲んで時間を潰してたっけ。
 あまり楽しい話とかはしてあげられなかったけど、それでも俺にとってはすごく嬉しい時間だったんだ。
 だってTさんと一緒にいられるのなら、俺はいつでもどこでも、どんな状況でも、幸せであることに変わりないから。
 神社の駐車場に着いてから一緒に星を眺めたね。
 オリオン座と北斗七星は今でも覚えているかな?。
 好きな人と一緒に星を眺めるのはずっと夢だったから、短い時間だったけど、すごく嬉しかったよ。
 それからしばらくして除夜の鐘が鳴り始めたね。
 お参りする頃にはもう鳴り終わってたけど、世界で一番好きな人と一緒に年を越せた俺は、幸せ過ぎる男だとも思ったよ。
 お賽銭を投げて2つお願いをした。
 1つは、「自分自身を誇れる俺であり続けますように」。
 もう1つは、「Tさんとうまく行きますように」。
 Tさんのお願いも聞きたかったけど、それは恐くて出来なかったんだ。
 俺は恋愛祈願のお守りを買った。もちろんTさんを想ってだ。
 片想いの男の勝手な望みだったから、Tさんには見られたく無かったけど、今更恥を隠しても仕方ないと思ったんだ。
 おみくじは2人とも大吉だったね。
 恋愛の項目を見てみたら、「この人こそ幸福を与える」だって。
 間違ってないよ。
 俺がTさんを愛しているという事実だけで、俺は間違いなく幸福だから。
 自分にウソをついて、ずっと逃げていた頃の俺は、なんて不幸な男だったんだろうって思ってる。
 いいことずくめだった。神様の存在を信じたかった。神様にすがりたかった。
 でも俺は普段から無宗教だって言ってるからね。
 こんな都合のいい男にどれだけ御利益が有るかって・・・。
 
 3回目はS君と3人で遊んだ時。
 本当は、Tさんと会う時はいつも2人だけでいたかったんだ。
 Tさんの視線を誰かに持って行かれちゃうんじゃないかって、不安だったから。
 それはS君にも言っておいた。
 だからS君に彼女が出来てから、一緒に遊ぼうって言っておいたんだ。
 でも成り行きで3人で遊ぶ事になってしまった。
 そして、俺の不安だった予想は見事に的中した。
 S君と話をしている時のTさんは、すごく楽しそうだった。
 俺は冗談が苦手な性格だから、2人のやり取りを見ていて羨ましかった。
 カラオケで歌っていたTさんは、すごくかわいかったよ。
 踊っていたTさんは、すごく愛らしくて、愛おしくて・・・。
 でも俺には、Tさんを楽しませてあげる事が出来ない。
 Tさんを、幸せにしてあげる事が出来ない。
 それを痛感して、また胸が苦しくなった。
 
 「今現在、世界で一番Tさんを愛しているのはこの俺だ」って、誓えるよ。
 それなのに、俺には愛する人を幸せにするだけの力が無い。
 今まで色々な事に対して、人並みかそれ以上に努力して来たっていう自負は有るんだ。
 でも恋愛や女性、対人関係とかへの努力は怠っていた。いや、逃げていた。
 こんな事なら、もっと人付き合いを重要視するべきだったよ。
 マスコミに流されない様に、テレビや雑誌を見るのも控えていた。
 その分、自分や物事を客観的に見つめる事や、自分の思想を構築する為に時間を割いて来た。
 でもこれは、今となっては空回りでしか無かったのかもしれない。
 愛する人ひとり、幸せにしてあげる事も出来ないんだから。
 
 今回で、Tさんに渡した手紙は全部で7通になるね。
 今読み返してみると、くだらない男の単なる言い訳でしかなかった様にも思える。
 こんな手紙を何通書いてみたって、Tさんにほんの少しの笑顔も作ってあげる事は出来ない。
 これらも全ては空回りだったのかもしれないね。
 
 Tさん、俺といるとやっぱり窮屈かな?
 今まで俺の勝手なお願いで会ってもらって来たけど、そして手紙を渡して来たけど、もし窮屈に思っていても、Tさんは優しいから、はっきりと断る事が出来ないんじゃないかな?
 だから、1つだけでいい、正直に答えて欲しい事が有る。
 「俺の恋人になって欲しい」。この答えだ。
 
 明日は夜までバイトだったね。だから、明後日の午前1時に俺が電話をかけるよ。
 OKなら出て欲しい。
 もし駄目なら、電源を切るなりして出てくれなければいい。
 その時には、俺はまた新たなる道を歩もうと思う。
 
 俺は自分勝手だよ。これは痛いほどわかってる。
 でも、もう耐えられないんだ。何もかも、もうどうでもいい気分だよ。
 ゴメンネ。片想いに疲れちゃった・・・。 − ノック
 
 
 
 
  
 
 
   |