第三幕



[ このメッセージへの返事 ] [ 返事を書く ] [ home.html ]



投稿者: ditto @ ykha119.tky.3web.ne.jp on 98/2/21 23:59:34

In Reply to: 第二幕

posted by ditto @ ykha119.tky.3web.ne.jp on 98/2/21 23:54:42

(第三幕)

「この方はなあ、正真正銘 金治の奥方だよ。」
「ええ!?金さんって妻帯者だったの?知らなかった。」
「こんな馬鹿やってる間に、飛躍競技の二本目が始まっちまったい。」
「そうそう、こうしちゃいられない。源田の金メダルの瞬間を撮らないとね。号外第壱号はこれで決まりよ。」
「どうせあっしはまた三脚代わりなんだろうな...」

「いかんいかん、俺達も飛躍競技を見に来たんだったな。」
「飛躍競技の一本目はどうでしたの?」
「源田が見事な飛躍で一番よ。このままで行けば、金メダルは堅いわ。」
「そりゃ楽しみだな。」

「ルール改訂の影響もなんのその。見事な飛躍でした源田。これから二本目、金メダルへの飛躍です。」
「風はいいですよ。向かい風が来てます。」
「源田スタート!...、踏切 立った!」
「高い!いいですよこれは!」
「伸びる伸びる...あっつ!し、失速!源田失速です!」
「踏切は、良かったんですけどね...何がいけなかったんでしょう?」
「結局...源田は5位ですか...メダルを逸しました!」
「まことに残念です...、場内からも源田への不満の声が充満しているようです。が、皆様どうか源田を責めないでやってください。これで放送を終わります、○HK。」


「なんだあ...折角撮ったのにぃ...。」
「またやっちまったのかい源田。これじゃあ四年前と、変わりが無いじゃないか!」
「やっぱりルール改訂が影響しているのかもな..。」
「末吉よう...、ルール改訂ってのは...」



−その夜・本陣宿−

「ハッハッハッ、ダイセイコウネ!」
「ヤハリ、チョクゼンノ ルールカイテイ ガ キイタヨウネ。」
「源田トカイウオトコ トブトキハトブガ トバナイトキハテンデダメネ。ソコヲウマクツイタ アタマノショウリダネ。」
「ソウ、Kテンニ トドカナイトキハ シッカクニスル トイウノハ マサシクメイアンダッタネ。」
「源田ハ ソノルールニ キヲトラレスギテ シッソク!ワハハ。」
「ドダイ イエロモンキーガ ワレラノオカゲイデ キンメダルヲ トルナドトハ オコガマシイネ。ソウダロ イノヤマ!」
競技委員長・猪山(以下)「はは、全くでございます。そもそも、この競技はあなた方の国の伝統的競技。ルール改訂もなんなりとご自由に。」
「ウム、ヨクワカッテルネ。デハ、ツギノカイテイダガ コンドハドウモ鮒木トイウオトコガメザワリダ。」
「カレノヒケイハ ゲイジュツネ」
「...ソウ ヒケイテンナドハ シンサノタイショウカラ ハズシテシマオウ。アスノダンタイヒヤクカラ カイテイシマース」
「そ、それは、いくらなんでも急でございます。せめて次の大会からでは?」
「ナンデスト! ソモソモ ジャンプトイウノハキョリガスベテデース! ヒケイテンナドヲ シンサタイショウニ イレテイルコトジタイガ マチガッテイマース。」
「ムッシュ・イノヤマ ニホンノコトワザニモ アルデハアリマセンカ? ゼンハイソゲト。」
「わ、わかりました。で、では明日の団体飛躍からそう改訂いたしましょう。」
「オウ、ハナシガワカルネ。」


「全く、呆れて物が言えねえぜ!自分の国の選手を優勝させるために、良いようにコロコロとルールを変えるなんざよ!」
「ナニヤツ!?」
「ゲーマーの金治て言うケチな遊び人よ。しかし、いくら遊びでも自分の都合の良いようにルールを変えたことはねえぜ。」
「サノヴァヴィッチ!ドウヤラ キカレテシマッタヨウデスネ。イキテハ カエレマセンヨ。」
「俺を斬ろうってのかい?おもしれぇ、だがなこの背中の土星、斬れるもんなら斬ってみやがれってんだい!(と言って背中の入れ墨を見せる)」
「ヤハリタダノ ヤクザモノネ。ミナサン キッテステナサイ!」
「オウ!」
「倭男児の誇りを見せてやらあな!」

ガキーン、ガキーン、ガキーン あっと言う間に5,6人の異人達を峰打ちで仕留めた金治。
「オウ マイ ガッァ...」
「安心しろ。峰打ちだ。」
「ひょっとしてこれでおわりかえ?」
委「はい(^^)」
「手抜きじゃないの?」
委「ぐぐ...」


「す、すまん、助かった。あいつらにいつも脅されて、ルール改訂を強要されていたのだ。」
「...」
「な、なんだ...儂を疑っておるのか。」
バシ!金治の強烈な平手打ち。
「うぎゃあ!」
「変に異人どもに迎合しやがって、己の恥を知れ!」

金治の活躍により、飛型点を飛躍競技の採点対象から除くという暴挙は行われずに済んだが、さすがに相手が異人では治外法権であり、金治は裁くことは出来なかった。
その怒りを、自分の主張もせずに異人の言いなりになる競技委員長にぶつける金治であったが、残るのは空しさばかりであった。
後はただ、明日の団体飛躍での源田選手の活躍を期待するばかりであった。

See you next day!

(注)この作品はフィクションであり。登場する個人・団体名は、実在のものとは何ら関係ありません。