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投稿者:
神村はるか @ 202.231.192.180 on 98/1/30 01:17:03
In Reply to: 「第7回メッセージ文コンクール」
posted by 高山 比呂 @ ppp-y077.peanet.ne.jp on 98/1/29 07:02:16
その日はいつもと様子が違って見えた。
朋子は一大決心をしたようにうなずき、なじみの美容院に入った。
「いつもは5センチくらいしか切らなかったけど、今日は思い切って10センチくらい切ってみようかな?」
彼女の髪型はいつも肩口できれいに切り揃えられていた。結構本人も気に入っているようだったが、
いつも同じ髪型だと、もうこのまま一生この髪型しか似合わない女になってしまうかも?
なんていう変な強迫観念にも似た気持ちがどんどん大きくなってきて、もう髪の毛を切らずには
いられなくなってしまった。
「こんにちは、今日は木村さんはいないんですか?」
木村とはいつも彼女のカットを担当してくれている美容師である。やっぱりこういう時は
良く知っている人の方が安心して任せられる。
「あ、朋子ちゃん、ごめんなさい。今日は木村はお休みなの。でも、私があいてるからすぐに出来るわよ。」
なんてこと!せっかく一大決心したのに・・・・
「今日はどうする?いつもの通りにすればいいの?」
「あのあのあの・・・・・」
朋子の口からはなかなか決心した言葉が出てこない。
そして無限とも思われる時間が流れたと思ったときやっと注文をすることができた。
「・・6センチくらい切ってください。」
結局いつもより1センチしか余分にお願いすることしか出来なかった。
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