土星 第25話 その5



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投稿者: Qちゃん @ webgate.yamato.ibm.co.jp on 98/1/23 11:12:07

In Reply to: リレー小説土星 第25話 予告

posted by Qちゃん @ webgate.yamato.ibm.co.jp on 98/1/23 10:51:47

「アリスの正体?」

マサキはベネットに聞き返した。そう言えば、アリスとは衝撃的な出会いをしてから、
ずっと一緒に行動していたが、彼女自身のことを考えたことがなかったと気が付いた。

「そう、彼女の正体。説明してもいいのかしら、アリス?」

アリスはいつものように軽く笑っているように見える。
それを肯定のサインだと受け取ったベネットは話を続けた。

「アリスはね、アーンファーンテリブルという特殊な能力を持った人間の様ね。」

マサキはちらっとアリスの方を見たが、アリスは表情を変えずにベネットの方を向いたままだった。

「アーンファーンテリブルって言うのは、うーん、私もよくわからないけど、どうやら、
特殊な超能力みたいなものをもった人のことを指すようね。で、その能力は
主に軍事方面で高く評価されているようだけど・・・・」

「軍事方面?」 

マサキはたまらずベネットに質問をしたが、ベネットはそれを手で制して先を続けた。

「アリスの場合は能力自体をほとんど使い切ってしまったため・・
そうね言ってみればこれから処分される予定だったみたいね。」

「処分?」

マサキは驚きの声を上げてアリスの方を再び見たが、アリスの表情は変わってはいなかった。

「能力のなくなったアーンファーンテリブルなんて、邪魔なだけでしょうからね。
だから、あなた達は今ここにいられるのよ、わかる?アリスの能力が充分に残っていれば、
マサキ、あなたもアリスと一緒にずっと拘束されていたわよ。」

ベネットの話を聞いていたマサキはぞっとした。
そんな事になっていたら、ヨーコを助け出すどころの話ではなかったからだ。

「でもそうなると、完全に自由になった訳じゃないわね。
多分、この家も関係者の方々に監視されてるでしょうね。
あ〜あ、ま、いっか、もともと目をつけられそうなことやってたしなぁ・・」

最後の方はほとんど独り言のように苦笑しながら、ベネットは話を終えた。

「あのぅ・・・・」

それまでずっと黙っていたアリスが初めて口を開いた。マサキはびくっとしてアリスを見た。

「ベネットさん、どうしてそのようなことをご存知なのですか?」

「私の趣味はね、ハッキングなのよ。」

ベネットは笑いながらそう答えた。