四話完結恋愛小説企画(勝手に)続行しまぁーす!!



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投稿者: 柏木耕一(旧・日光) @ p01-dn02kuki.saitama.ocn.ne.jp on 97/11/13 14:45:43

 ふと目が覚めると、僕は犬っパナを身に着けていた。
 ついでに目の端にはセロハンテープが貼ってあり、吊り目になっていた。
 おまけに体中にゼリーがぶち撒けられていた。
 つまりはどうしようもない惨状だったということだ。本来僕は低血圧気味のはずなのだが、ある意味妙に寝覚めが良い。すくなくとも思考ははっきりしている。
 今の僕は、体中をゼリーでベトベトにしながら犬っパナを身に着け、セロハンテープで吊り目を固定した人間だということだ。外を出歩いてみれば、六分でおまわりさんが駆けつけてくること間違いなしの格好である。
 犯人はわかっていた。僕の家の居候−−鈴花麗(リン・ファオリィー)の仕業だ。いい加減悪戯はやめろと注意してあったのだが、この調子だと「良薬口に苦し」だったらしい。僕は無意味にため息をつくと、とりあえず犬っパナとセロテープをはずし、ゼリーまみれになったパジャマを身に着けたまま風呂場へ向かった。何のゼリーだか知らないが、ひどい臭いがする。色は赤いから、ストロベリーか何かだとは思うのだが、それにしては……何とも言えない臭いだ。
 重い木の扉を開け、ぽたぽた雫を垂らしながら廊下に出る。なるべくなら誰にも見つかりたくはなかった。特にじいやに見つかったら、また例のお説教に付き合わされてしまう。悪い人ではないのだが、説教がいつの間にか戦後荒廃時のストリートファイト話になってしまうので時間を食うのだ。
 何とはなしに、そろりそろりと足を運ぶ。あともうすぐ。あともうすぐで風呂場が見えてくる。やたらと広いこの家に内心文句を呟きながら、僕はすり足差し足で風呂へと向かう。
 角を曲がった。あと少し−−あと少し。
 そしてそのあと少しのところで、向こうに人影が見えた。
 ……あれは……。

 <つづく>
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 勝手に企画を続行してしまいました……ごめんなさい。
 では、続きを待ってます。