Re:複製ではなく頒布権が問題



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投稿者: 四日市 @ 202.230.47.147 on 97/8/23 23:42:33

In Reply to: ちょっとだけ確認させて下さい

posted by るろりん @ ppp-at203.fsinet.or.jp on 97/8/23 22:34:38

> >  中古はその合法性に疑問があるわけですから、楽しめればそれでいい、というの
> > はちょっとおかしいように思います。
>   私、まだコンシューマー・ソフトの中古問題には、法的な結論は出ていない
>  ように記憶していたのですが、違いましたでしょうか?

 直接中古問題に言及した判例が存在しないと言う意味では、るろりんさんの言う
とおりです。但し、テレビゲーム関連ですでに出されている判例と現行法の解釈で
は、違法と解釈される可能性がかなりあるという意味で、合法性に問題があるとい
う言い方をしたのです。現にCESAは違法という立場のはずです。

>   基本的にコピーが出来ないわけですし、パソコンのように「違法複製による
>  著作権侵害」は、一般ユーザーには当てはまらないはずなので。

 中古問題は頒布権の問題です。ここでいう頒布権とは、著作物の複製物を有償ま
たは無償で譲渡・貸与する権利という意味でとらえてください(ここでいう著作物
はオリジナルのマスターのことで、店頭で売られているパッケージ商品は、複製物
にあたる。)。頒布権の適用がある著作物の複製物については、勝手に売ったり貸
したりしてはいけないのです。日本では、映画にのみこの頒布権が認められていま
す。要するに配給権のことです。
 「じゃあ、頒布権はゲームとは関係ないじゃないか」と仰るかもしれませんが、
そうではないのです。テレビゲームは、著作権法上の映画にあたるというのが、現
在の判例の流れです。そして、判例上はテレビゲームにも頒布権が認められている
のです。ちなみに、「映画とテレビゲームでは流通形態が違うから、頒布権の効力
は制限されるべきだ。」という主張は、判例で明確に否定されています。
 ここで「著作権者が流通に流して対価を得た時点で権利が消尽するから、買った
人間がその後著作物の複製物をどう処分しようと自由だ」という見解があります(
消尽理論といいます)。これはソフトショップの唱える見解ですが、これは現行法
の解釈としてはとりにくいのです。貸与権制定時の議論等を見る限り、著作物の複
製物を買った人間が再度頒布する(二次頒布)にも頒布権が及ぶことが前提とされ
ているのです。事実、レンタル行為も二次頒布の一種なのですが、無断レンタル行
為は、頒布権に基づいて取り締まられているのです。そして、先ほど述べたように、
頒布とは貸与と譲渡の両者を含む概念なのです。
 以上のことから、現行法の解釈としては、合法性に疑問があるのです。