うーんいいね、こーゆーの、いいこといってらぁTO



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投稿者: スットコ @ netvgw.netvision.co.jp on 97/8/17 23:42:44

In Reply to: サターンの金さん 第18回

posted by 遠山金三郎 @ tpro2.tky.threewebnet.or.jp on 97/8/17 23:02:33

> 第18回
>
> サターン町奉行所にて
> 同心・橋本(以下<font color=gray>橋</font>)「脇坂様、GESAとかいう団体の会長で景衛門とか名乗る者が、またやってきておりまする、如何いたしましょう。」
> 与力・脇坂(以下<font color=olive>脇</font>)「またか。決まって御奉行の居ないときにくるな。」
> <font color=gray>橋</font>「では、お断りいたしましょう。」
> <font color=olive>脇</font>「...、いや待て。一応、話は聞いておこう。」
> ―――――――――――――――――――――――――――――
> <font color=olive>脇</font>「これ、景衛門!今度は一体何の用じゃ?」
> 景衛門(以下<font color=green>景</font>)「これは脇坂様、お忙しいところ、誠にありがとうございます。」
> <font color=olive>脇</font>「型通りの挨拶はもうよい。早う用件を申せ!」
> <font color=green>景</font>「実はでございます。最近ソフトの売れ行きが鈍っております。」
> <font color=olive>脇</font>「それで?」
> <font color=green>景</font>「なぜかと調べておりましたらですな、どうも中古で安く買おうとする者が多く、買い控え現象であることがわかったのでございます。」
> <font color=olive>脇</font>「ふむふむ、それで?」
> <font color=green>景</font>「ここはぜひ遠山様のご尽力を得て、中古販売禁止のお触れを出していただきたく存じます。」
> <font color=olive>脇</font>「これ、景衛門。お主何を考えておるのじゃ。」
> <font color=green>景</font>「はっ!?」
> <font color=olive>脇</font>「御奉行の性格からして、そんなこと承知はずがなかろう。悪いことは言わぬ、御奉行の怒りを買わぬうちに、退散されよ!特に今は、御奉行の機嫌が悪いのじゃからして。」
> サターン町奉行・遠山金三郎(以下<font color=red>金</font>)「なにい!期限がないじゃとぉ!儂の前でその話をするとは良い度胸じゃ。」
> <font color=olive>脇</font>「うわぉぅ!いつも一体何処から現れるのですかな御奉行は?」
> <font color=red>金</font>「要らぬ詮索をせんでもよい。」
> <font color=olive>脇</font>「こ、これは失礼いたしました。」
> <font color=red>金</font>「それより中古販売禁止の件であるがな、儂は賛成じゃ。」
> <font color=olive>脇</font>「ほれ!景衛門。いわんこっちゃない。御奉行も賛成と...<font size=7>えっ!?</font>」
> <font color=red>金</font>「脇坂...、人の額に手を当てる遊びでもどこぞで流行っておるのか?」
> <font color=olive>脇</font>「いや、こ、これは失礼仕りました。熱でもあるのではないかと...。」
> <font color=red>金</font>「うつけ者!ひかえい!」
> <font color=olive>脇</font>「はっ!はは!」
> <font color=green>景</font>「これは御奉行様、さすがに思慮深い。御奉行様の力を得て、この景衛門百万の味方を得たような気分でございまする。そもそもゲームソフトというもの、クリエイター達の血と汗と涙の結晶でございます。それをこともあろうに、安く仕入れ安く売ろうなどとは言語道断!著作権法違反に該当すると思われまする。」
> <font color=olive>脇</font>「しかし御奉行、一体どうした風の吹き回しでございますかな?いつもなら、真っ先に反対されるような内容でございますのに。」
> <font color=red>金</font>「昨今のゲームソフトの販売不振。これが中古ソフト流通のせいだということは、少なからず真実であろう。メーカーの収益が下がれば、次のソフト開発に投資できる金も減る。その結果、手抜きゲーばかりとなれば、より一層ソフトの売上は落ちる。これすなわち悪循環じゃ。中古販売を禁止する事で、この悪循環を断ち切れるならば、儂は喜んでお触れを出そう。」
> <font color=green>景</font>「おありがとうございます。早速、協会のみんなに朗報を知らせて参りまする。具体的な話は、次の機会にどこぞの料亭でしとうございます。では今宵はこれにて。」
> <font color=red>金</font>「あいや、待たれよ景衛門!まだ話は終わってはおらぬ。」
> <font color=green>景</font>「は?細かいところの詰めの話は、どなたか下の方でもよろしいのでは?」
> <font color=red>金</font>「そうではない。条件がござる。」
> <font color=green>景</font>「じょ、条件!?」
> <font color=red>金</font>「中古の販売は禁止する。しかし、それと引き替えにメーカーには、自社ソフトの買い取りを義務づける!」
> <font color=green>景</font>「な、なんですと!そんなご無体な。」
> <font color=red>金</font>「なにが無体であるか!町人はのう、僅かな日銭を貯めてソフトを買うておるのじゃ。それが高い値で買わされるわ、中身はクソゲーだわ、何処にも売れんわでは、彼らに対してどう顔向けするつもりなのじゃ。」
> <font color=green>景</font>「しかし買い取り義務とは殺生な。」
> <font color=red>金</font>「何も販売価格で買い取れと言っておるのではない。ソフト内容は時が経つに連れ陳腐化するからのう...。うむ、たとえばの話であるが、発売から1週間以内では販売価格の7割で買い取るべき。」
> <font color=green>景</font>「そ、そんな、7割と言えば、メーカーの卸値とほとんど変わりませぬ。」
> <font color=red>金</font>「1週間と言えば、消費者が買ったソフトに怒り、騙されたと思って叩き売りに来る頃じゃ。騙した消費者には、お主らの収入をそっくりそのまま返す、当然のことじゃ。後は1ヶ月以内は5割、6ヶ月以内は3割程度としようか。」
> <font color=green>景</font>「うぐぐ...、しかしそれはいくらなんでも厳しいお定め。もう少し何とかして頂けぬものでしょうか?」
> <font color=red>金</font>「先ほども申したように、町人はさほど裕福ではない。中古の売却ができぬとあれば、財布のひもが堅くなってしまい、逆にソフトが売れなくなってしまうことは充分考えられる。これくらいの保証は少なくとも必要ではないのか。それにソフトを売却した金が、次のソフトを買う金になるわけでもあるしな。」
> <font color=green>景</font>「さ、左様でございますか。」
> <font color=red>金</font>「それにもう一つ条件がある。」
> <font color=green>景</font>「こ、この上一体何を?」
> <font color=red>金</font>「ユーザーが欲すれば、いくら古いソフトであっても、責任を持って供給するべし。」
> <font color=green>景</font>「そ、それはある程度のロットがあれば...。」
> <font color=red>金</font>「たとえ1本でも供給するのじゃ。」
> <font color=green>景</font>「そんな無茶な!」
> <font color=red>金</font>「お前らの論理で言えば無茶かも知れぬ。しかし、中古市場は今挙げた2つの機能を果たしてきたのであるぞ。」
> <font color=green>景</font>「うっ...」
> <font color=red>金</font>「中古市場というのはのう、お主らのソフトメーカーの独善的な行為を補完するものとして必然的に発生してきたものと思うぞ。今のお主らによっては、うざったいだけの存在としか見えぬとは嘆かわしい。」
> <font color=green>景</font>「...」
> <font color=red>金</font>「今挙げた二つの条件を満たす自信があれば、またここに足を運ばれよ。お主の望み通りのお触れを出してやろうではないか。」
> <font color=green>景</font>「はっ、...お、恐れ入りましたでございます。」
> <font color=red>金</font>「のう景衛門。聞きたいことがある。お主らは一体何のためにソフトを創っておるのじゃ?」
> <font color=green>景</font>「な、何のためと申されますか?」
> <font color=red>金</font>「生計をたてるためか?確かにそれもあろう。しかし利潤追求だけが己らのよろこびではあるまい。」
> <font color=green>景</font>「...」
> <font color=red>金</font>「自分の創ったソフトでより多くの人を楽しませたいからではないのか。ユーザーを楽しませること、喜んでもらえること、これが基本であろう。はじめにユーザーありき。この原点に立って戻って今一度己らの行動を見直してみよ!さすればいままで見えてこなかったものも見えてこよう。」
> <font color=green>景</font>「み、見えなかったものとは?」
> <font color=red>金</font>「そこまで言わせたいか、この儂に!では言ってやろう<font size=7>うぬの愚かさよ!</font>」
> <font color=green>景</font>「し、失礼をばいたしました。この景衛門、御奉行様の言葉、骨身にしみてございます。」
> <font color=red>金</font>「わかればよい。仏の顔も3度までという諺もあるが、残り1度はないようにしてくれないか。でなければ、こっちも体はもたんからな。」
> <font color=green>景</font>「へへえ!」
> <font color=olive>脇</font>「相も変わらぬ見事なお裁き!ほれぼれいたしまする。」
> <font color=red>金</font>「これにて一件落着!」
> <h2>(注)この作品はフィクションであり。登場する個人・団体名は、実在のものとは何ら関係ありません。</h2>