サターンの金さん第八回 後編



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投稿者: 遠山金三郎 @ tpro2.tky.threewebnet.or.jp on 97/6/15 23:34:42

In Reply to: サターンの金さん第八回 前編

posted by 遠山金三郎 @ tpro2.tky.threewebnet.or.jp on 97/6/15 23:22:35

「サターン町奉行遠山左右衛門之丞様ご出座。」
サターン町奉行・遠山金三郎(以下)「H後屋あるじ、面をあげい。」
「遠山殿、拙者かつては将軍家に仕えた直参旗本の身。このような場に引き出される筋合いではござらぬ。帰らせてもらおう。」
「待たれよ白川殿。面白いモノが見られるかもしれぬぞ。」
「面白いモノ?まあよかろう待たせてもらおうか。」
「H後屋、その方郡代官とつるみ、ソフトの値を吊り上げ、町民の暮らしを苦しめたこと、調べはついておるぞ。」
後「何を申されます、御奉行様(苦笑いしながら)。ソフトの値を吊り上げたなどと、とんでもございません。濡れ衣でございましよ。」
「いくら御奉行とて、我らの侮辱は許せぬぞ!」
「...さらに、郡代官の屋敷からこれが見つかっておる。証拠の品を前へ。...。ご禁制・十八金ソフトである。」
後「(うぐっ...)おおそういえば、ゲーマーの金とかいう狼藉者が押し込んできましてな。それはきっとあやつの落としたモノに違いありません。」
「ほほう、その狼藉者こんな入れ墨をしてなかったか?(と言って背中の土星を見せる)。」
and後「やや、なななんと(絶句)。」
「裁きを申し渡す。H後屋、遠島申しつける。ひったてい!」

「御奉行様。この白川、覚悟はできておりまする。最後は、ぜひ武士としての誇りを保とうございます。しかしその前に御奉行に訊きたいことがござる。
 御奉行は、日常茶飯事で値引きが行われるソフト市場を、良しとお思いか?町民にとっては、安い方が良かろう。だが、メーカーや職人たちにとってみれば、身を切られるような思いのはず。安定した収入が確保できぬとあらば、彼らは引いていってしまいまする。
 そうじゃ、それが今日のサターンの頭打ちの元凶に他ならぬ。」
「白川殿、ここに二つのソフトがござる。ナイツと○○じゃ。値段は同じ580文、しかし二つは同じ価値でござろうか?」
「...」
「同じではあるまい。そもそもソフトの値段は、中身に応じて付けられるべきモノ。しかし、現実にはどこもかしこも同じ定価しかつけてはおらぬ。メーカーが不当に定価を付けておるのであれば、値引きで是正するより他あるまい。」
「しかし、必ずしも優れたソフトほど値が高く、多く売れるというものでもないであろうて。」
「その通りじゃ。時には、町民は宣伝に惑わされ、ろくでもないようなソフトを高い値で買ってしまうであろう。そのような過ちをさせないのが、お主らの仕事ではなかったか?」
「...」
「それと職人の方も、充分手を込んで練り上げたソフトとお手軽なソフトが同じ値段が付くのであれば、お手軽なソフトになびいていってしまうであろう。やがて市場は、クソと呼ばれるソフトで蔓延してしまう。そんな悲惨な状況には断じてさせてはならぬ!」
「御奉行様、貴方様が居られる限り、サターンは安泰と見受けいたした。拙者心おきなくお裁きを受けることが出来申す。」
「そうか。ならば裁きを申し渡す。郡代官、しばらく謹慎いたせ、追って極刑の御沙汰があろう。」
「ありがたき幸せにござりまする。」

(注)この作品はフィクションであり。登場する個人・団体名は、実在のものとは何ら関係ありません。