ユーロロック紹介・最終回:日本編3・爛熟期



[ このメッセージへの返事 ] [ 返事を書く ] [ home.html ]



投稿者: 虚無僧三郎太 @ tproxy.tky.threewebnet.or.jp on 97/8/10 23:26:20

ユーロロック紹介(日本編3)爛熟期

ROSALIA 「Zillion Tears」
 1990年、ユーロプログレ史上に一つの快挙が達成された。神戸を中心にライブハウスで活動を続けていたROSALIAが、レコードデビューしたのである。何が快挙なのか?実はROSALIAは女性だけのバンドであり、これは古今東西ユーロプログレ界においては史上初のことであった。当時はプリプリが活躍していた頃で、女の子だけのバンドブームもあって、その流れにのったものではあろうが、プログレしかも相当ハードなプログレを演奏したのは彼女達だけである。
 私は、川崎チネチッタで彼女たちのライブを89年に見ていたが、演奏・ルックス共に申し分はなかった。ひょっとすると化けるかもという期待は抱いたのだが、残念ながらその後はメンバーチェンジを繰り返していき、現在では消息不明である。新宿のUKエジソンに行けば、まだCDは手に入るとは思うが。

Social Tension 「Remains」
 とにかくマニアックなバンド。90年代というのにハモンドやムーグを引きずり回し、70年代の音を意図的に再現しようとしていた。K.エマーソンへの憧憬のなせる技であろう。EL&Pのコピーバンドという陰口も馬耳東風。ドレッドツェッペリンのような存在をめざしたのか?ここまでいくとギャグに近いといった感じ。まあ彼らはそれで満足していたようだが。91年頃一度フジテレビの深夜番組にでていたのを見かけたことがある。で、そのときに演奏していたのは「キエフの大門」だった(笑)。でも本作は彼らのオリジナル作品だよ。

Vienna 「Progress」
 88年頃にデビューを果たしたヴィエナは、個人的な意見ではあるが、日本ユーロプログレ史上まごうことなき最高のバンドだ。1stの「Overture」は、クリムゾンの宮殿やイエスの危機、ラッテ・エ・ミエーレ(イタリア)の受難劇に勝るとも劣らぬプログレ史上の名盤に相違ない!なかでも9分を超える「カノン」は、NovelaやGerardのハードプログレを引継ながらもシンフォニックに仕上げた大作である。2ndの「Step into…」は、評論家の間ではさらに評価が高く(個人的には1stの方が好きだが)、日本ユーロプログレここに極まれり!という感があった。
 そして冒頭で紹介したアルバムは、彼らのライブアルバム。その名もきいてびっくりの「プログレス」!まさしくこれがプログレッシブだ!と言わんばかりの作品だ。しかし日本ユーロプログレは、これで昇華してしまった。ほどなくしてヴィエナは解散。今となっては、あらゆる人にこのアルバムを聴いていただけることをただ願うばかりである。

 そして日本ユーロプログレは、何処へと消えたのか?もうかつての輝きはどこにもないのか?と、思っていた矢先、テレビから流れてきた某アニメの挿入歌にふと懐かしいものを感じた。私は元来アニメをあまり見る方ではない。が、アニメBBSやその他BBSで盛り上がっている某アニメを、一度試してみたかっただけなのだ。その某アニメとは、「少女革命ウテナ」(!)。以前より少女マンガとプログレとは似合うとは言われていた。例えば、青池保子作の「イブの息子たち」にしろ、永野護作の「FSS」にしろ。話を戻して、懐かしいものを感じた曲というのは、絶対運命黙示録。ハードな曲調にシンフォニックな味付け、そしてなによりもあのミスマッチな日本語歌詞!それはかつてNovelaを聴いたときの衝撃に近いものだ。追い打ちをかけるように流れてきた決闘の歌・天使創造すなわち光。日本ユーロプログレは、こんなところに根付いていたのか!と狂気乱舞させるような想いだ。これなら日本ユーロプログレも安泰、思い残すことなくこの紹介シリーズの幕を閉じることもできよう。

 全20回に亘ったユーロロック紹介もこれで終了です。マニアックすぎてなかなかついてこれない人も多かったみたいでしたね。最後の下りは、多少冗談混じり(笑)なところはありますが、ユーロプログレを聴ける身近な機会でもありますので、気が向いたらウテナでも見て困惑(笑)して下さい。では、また機会があれば他のBBSでお会いしましょう。
 このBBSを見てる皆様に、Thanks!