なぜなに?中古ソフト。新世紀編1



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投稿者: きゆき @ ww-pa01.proxy.aol.com on 98/4/30 22:32:35


こんばんわ、きゆきです。
こちらのタイプ?の方がかきやすいこともあって、
新世紀編ということで、2を作成中です。
とりあえず、この前のがちょっといいかげんだったので、
多少手直ししたものをアップさせて頂きます。

ま、ときには息抜きということで、きっちり考えたものではありませんが、
読んでみて頂ければ幸いです。

なぜなに?中古ソフト。新世紀編1

時に1998年4月、ゲーム業界は・・・

登場人物
碇シンジ:株式会社ネルフ開発部サウンド(一応主人公らしい)
綾波:同プログラム。腕は超一流らしいが、でも・・・
アスカ:同グラフィック。超芸術家らしいが、しかし・・・
葛城ミサト:同ディレクター。徹夜明けのビールが趣味・・・
赤城リツコ:同プロデューサー。予算管理と納期管理でM気味・・・
加持:フリーのグラフィックデザイナー。とはいうものの・・・
碇社長:同社長。
冬月専務:同専務。

それは、延期に延期の末、年度を越し、
また、どっからともなく仕様がひっくりがえった
夜からはじまる。

株式会社ネルフ開発室サウンドルーム
午後七時
開発室にはなぜかシンジと綾波の二人しかいない。
「碇クン」
「あ、綾波。な、なんだい」
「ディレクターの葛城さんが」
「え、ミサトさんが?」
「仕様が変わったから、碇クンがつくった曲とそのデータ」
「曲とデータが?」
「全曲CD−DAから内臓音源に変更して、だって」
「ぜ、全曲!?」
「そうよ。そういってた」
「だって、もう発売日まで3ヶ月切ってるじゃないか」
「そうね」
「綾波だって、全プログラムやり直しだなんていったらどうするさ?」
「碇社長の命令があれば、そうするわ」

同ルーム
午後九時五十分
同じく開発室は二人だけ。
「碇クン」
「あ、綾波。今度はなんだい」
「サード・インパクト」
「サード・インパクト?」
「サード・インパクトって知ってる?」
「ああ、ときたまミサトさんとプロデューサーのリツコさんがいってるけど」
「知ってるの?」
「あ、いや、よくは知らないけど、起きると僕たちが路頭に
迷うかもしれないってことだけは・・・」
「ふうん・・・、そうなの・・・」
「綾波は、知ってるの?」
「碇社長と冬月専務がいってた・・・」
「父さんと冬月専務が?」
「ええ、我々に与えられた時間は残り少ない、って・・・」
「そう・・・なんだ」
「碇クン、コレ」
「なに?」
「サウンド・ドライバの変更リスト。
CD−DAから内臓音源に変わったから。音色とかの変更、この通りに」
「えっ、このリスト今までのと全然違うじゃないか!
このとおりに修正してる時間なんかないよ!」
「じゃ、お先に」
「お、おい!綾波っ!アヤナミィー!!」
「泊りか・・・」

同社社長室
時間は溯って午前十一時丁度
社長室には碇と赤城。冬月はどこかに直行らしい。
「それで、すべてはシナリオ通りに、と?」
「そうだ、赤城プロデューサー」
「けれど、あの仕様変更は考慮して頂きませんと」
「わかっている、予定外の事故だからな」
「それでは、制作費の増額と期間の延長を」
「それは、できない。次の大作が迫っているからな」
「・・・わかりました。最善を尽くします」

同社開発ルーム別フロア
時間は翌日の午前四時三十分
このフロアにはエクセルでワークシートをつくるリツコと
それを見てニヤニヤ笑いつつエビスをあおっているミサトがいる。
「ぷはぁー、やっぱ人生この時のためにいきてるようなもんよね」
「徹夜明けのビール。いいかげんにやめなさい」
「しっかったないでしょう、この会社シャワールームすらないんだしぃ」
「悪かったわねえ、そういう事は専務にいってちょうだい」
「昨年の夏、エアコンが故障して、リツコが直してるときに、
専務なにしたか憶えてる?」
「ああ、もういい、何も言わないで。123と違って、
演算関数間違えるとしっちゃかめっちゃかになるのよ、この子」
「バケツに足突っ込んでたのよ、碇社長といっしょに」
「ところで、サード・インパクトの話、何か聞いた?」
「サウンドのシンジクンが昨夜聞きにきたわ」
「まさか、あなた、いったの?」
「いーやぁ、私だってよくわかんないし。じゃ、リツコはわかってるの?」
「無制限に増えてしまったソフトが引き起こす、未曾有の大惨事」
「で、その影響は私達下っ端で働いている者が被ると?」
「外れてはないわね。17本目の大作・・・」

同フロア
午前九時三十分
未だ出社してきた人間はいない。
泊まっている、リツコとミサトとジンジを除いては。
「ハイ、ハイー。株式会社ネルフ開発部ですぅ」
「ミサト?」
「あ、加持クン?どうしたの?えっ?」
「どうしたのよ。ミサト?」
「加持クンがプロジェクト契約してた、内務株式会社
ゲーム制作やめるんだって。それで仕事ないかって」
「けど、内務っていったら、あの大作タイトル関わってたわよねえ?」
「方針変更なんじゃないの?ところで加持クンに振れる仕事ある?」
「そうねえ、ところで、最近アスカが出社してないけど、知ってる?」
「あっ、やっぱバレてた?、
仕様変更でちょっとばかしグレちゃって、3日ほど」
「じゃ、アスカのフォロー入ってもらいましょう。もともと3Dは荷が
重すぎるようだったし、2Dだけなら相当スピードもでるでしょ」
「サンキュー。赤城プロデューサー様」

同開発ルーム
午前九時五十分
この時間から出社ラッシュ。
めずらしく、アスカが早い出社。
「バカシンジ!」
「あぁ?」
「バカシンジ!起きな!!」
「ア、アスカ。おはよう。ここ2、3日みなかったようだけど」
「あ、そう。よくアンタのボケた頭で憶えてられますですねえ
「そういえば、ミサトさんはなんともいってなかったけど、
リツコさんが年俸下げるって・・・」
「あー、どいつも、こいつも。このアスカ様がサード・インパクトが
なにかって突き止めてきたのに、態度がなってないわねえ」
「なにか、わかったの?」
「お、おはよう。優等生プログラマさん」
「・・・」
「あー、わかったわ。話してあげるから、きちんと聞いてなさいよ」
「わかった。アスカ。続けて」
「シンジ、あんたが聞いてるジャズナってバンドあるでしょ?」
「うん、あるよ。それが?」
「あーっ、もう、にぶい、にぶい、にぶい!彼らは今メジャーレコード
会社にいるけど、その前はどうだった?」
「ライブハウスとかで活動して・・・、マイナーレーベルでCD出してた」
「マイナーレーベルで出してたわよね、いわゆるところマイナーじゃ
万の単位のCDなんて余程のことがなきゃでないわよねえ?」
「うん、そうだと思うよ」
「だったら、メジャーはどう?最近ミリオン・ヒットは減ったけど、10万は
そこそこのアーティストやプロデューサーならいってあたりまえって感じ
じゃない」
「そうだね、確かに」
「今ね、レコ協に加盟している全メジャーは28社。逆にいうとこの28社
からじゃなきゃミリオン・ヒットは絶対に出ないってわけ。ま、海外は
別だけどさ」
「そ、それで?」
「ここまでいってわかんないの?だから、サード・インパクトの正体って
のは、このままいきつくとこまでいかせて、海外で起きたインパクトと
同じようなことをわざと起こして、そういうような構造で生き残れるところ
しかゲーム会社としては残さないってことよ」
「えっ、それじゃ、ここつぶれちゃうの?」
「たいていの会社はつぶれるか、大手の会社に吸収合併されるわね。
そして、大多数のゲーム技術者は一時的に路頭に迷うことになるわ!」
「そ、そんな!一大事じゃないかそんな事!父さんや冬月専務は
知ってるの?」
「当然知ってるわよ。だから、我々に与えられた時間は残り少ない、
とか偉そうにいってるんでしょ」
「でも、それが本当」
「はいはい、優等生プログラマ様のおっしゃるとおりで」
「アスカ、なんか手段はないの」
「まっかせっなさーい。この3日間そんなことだけのために費やしてた
わけじゃあないのよ。今制作中のソフトにこのアスカ様渾身のムービー
とイベントグラフィックを入れれば、ミサトのありふれたシナリオも
途端にハリウッド映画に変身よ!」
「ちょっと、いい?」
「かまいませんわよ、優等生プログラマさん」

(AT機のスロットに入れられるMO。数秒のキータッチのあと、
こちらを向く綾波)

「これ、つかえないわ」
「なんでよ!私の偉大なる作品に何ケチつけようっていうの!」
「私のマシンじゃシネパックは動くけど、トゥルーモーションは動かない。
圧縮する前のデータは?」
「そんなもの、必要無いから、3日前にすてたわ」
「圧縮してあるのしかないんだったら、モーションJPEGでもいい。
私自分でコンバートするから。でもトゥルーモーションはダメ。
機材が無い。使用契約はしていない、契約金も無いって碇社長が
いってた・・・」
「なんですってえ!!」
「それに、2Dの方も使えない。セル単位になってないし、抜け色の
パレットが壊れてる・・・」

御粗末さまですみません。
上記の会話等は全てフィクションです。

ではでは、おやすみなさい。

by きゆき