大切な物と、愛する者に捧げる唄。



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投稿者: うぉーろっ君 @ tkti021.osk.3web.ne.jp on 98/3/09 02:34:15

科学
人の願いから生まれ出でしもの
人が幸せになるための研究をする認識活動

手を触れてみたら解る
先人たちが捧げてきた心が
先人たちが積み重ねてきた願いが
それは現在(いま)よりも先へと進もうと望む人間(ひと)の
想いの根源


機械
人の生み出せしもの
夢を現実に近づけるための手助けをするもの

手を触れてみたら解る
製作者たちが捧げた汗と涙が
製作者たちが積み上げた夢が
それは今日(いま)よりも素晴らしい明日を望む人間(ひと)の
想いの結晶


でも人は幾度となく
科学は無慈悲
機械は冷酷と
蔑みの言葉を口にする
己が身に受けている恩恵を忘れて

それは人の下僕でありながら人以上の力を持つものへの
妬みなのかもしれないけれど

それは時に人を傷付ける物を作り出す故の
憎しみなのかもしれないけれど


でも貴方には
貴方にだけは
そんな事を思って欲しくない
科学が人の持つべきでない力だとは
機械は人と相容れないものなのだとは

貴方にだけは解っていて欲しい
人の心から生まれたが故に
人の想いの善し悪しに関わらず操られてしまう
科学の弱い側面を
機械の脆い一面を


あたしは信じています

科学が貴方を幸せにしてくれることを

機械が貴方の夢を支えてくれることを

そして

貴方の強さと優しさを宿した心の想いが
彼らを正しく導いてくれることを



「あ、紅蘭。一人で舞台で何やってんだ? 稽古かい?」

「お、大神はん? 今の、聞いとったんか!?」

「……少しだけ。でも中国語だからよくわからなかったよ」

「さ、さよか……(ぼそっ)日本語じゃこっぱずかしゅうてよう言えへんって」

「あ、そうだ。飛行機、完成したんだって? おめでとう」

「お、おおきに……なぁ、大神はん」

「なんだい?」

「大神はんにとって、飛行機ってなんや? やっぱり、空飛ぶしか能のないただの道具か?」

「いいや。そうだな……人の空を飛ぶという夢を叶えてくれるもの……かな?」

「……!」

「とくに紅蘭のは、部品のひとつひとつにまで想いが込められた、素敵なつばさ……って、ちょっとクサいかな?」

「……ぷっ……ははははは! 大神はん、それはホンマにクサすぎやで!」

「そ、そんなに笑うなよ! 俺も言ってて恥ずかしかったんだから!」

「ははは、堪忍や大神はん」

「ところで……俺も飛行機に乗せてくれるって約束……今も有効かな?」

「!……もちろんや!!」