【私小説】李紅蘭的四方山話 その1(長いで!)



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投稿者: 雪組隊長 @ gw.jpo-miti.go.jp on 98/3/02 12:24:40

 春も3月いよいよ明日は我らが李紅蘭女史のお誕生日であらせられます。
 それを勝手に記念して、こんな話を作ってみました。
 初めてやったもんさかい、勝手がわからんもんで、読みづらいかもしれませんが、一つ読んだって下さい。
 なお、文中の雪組隊長の設定は、作者とは全然関係がありません。
 (ワシ、小心モンやから、他人の名前使うの苦手ですネン。)
 ほな、後でまたお会いしまひょ..
  
では、始まり始まりぃ

 ぴぃぃぃ どこかで鳥の鳴く声が聞こえる。それとも蒸気鉄道の汽笛なのだろうか。
「はぁ〜..ええ天気やなぁ...もう春なんやなぁ。こないにゆっくりするんは久しぶりや...」
 時は太正13年 春まだ早い3月の或る日の昼下がり...
 先日の降魔の攻撃で破壊された部分の修理が済んだ銀座大帝国劇場のテラスの上で、紅蘭は降魔による破壊攻撃の爪痕から復興なった帝都の街並みを眺めていた。
 穏やかな春の日が、あの激しかった戦いの日々などまるで嘘だったかの如く街全体にふりそそいでいた。
 不意にテラスのドアの開くキィという軽い響きとともに、人が近づいてくる気配がした。
「やぁ、紅蘭じゃないか。こんなところでどうしたんだい?」
「あ、大神はん。」
 振り返ると、そこには海軍の軍服をピシリと着た大神が立っていた。
「あれ、大神はん、どないしたんや? 軍服なんぞ着はって?」
「うん。今日は帝撃の連絡会議というのがあってね。ちょっと行って来たんだよ。」
「ふ〜ん..」
 思わず眼鏡を直して、大神の頭のてっぺんから足の先までしげしげと見入る紅蘭であった。
「どうしたんだい?紅蘭。じろじろ見て...軍服が珍しいのかい?」
「ううん、そうやないけど。クスッ そうやねぇ..大神はんは海軍少尉はんやったんやモンね。」
「うち、大神はんの軍服姿 初めて見るわ。」
「そうか・・?そうだよな、紅蘭と初めて会ったときはここの制服だったしな。おれも、ここに来たとき以来、久しぶりに着たよ。」
 紅蘭はふふっと小さく笑いながら、
「なかなか似合うとるで、大神はん!」
と言った。
「ありがとう。ところで、紅蘭はここで何をしてるんだい?」
「ん?うちか? な〜んにもしてへん。街を見ていたんや。うちらが守ったこの街を。」
テラスの手すりから身を乗り出すようにしながら、紅蘭が答えた。
「他のみんなはどうしたんだい?」
紅蘭は、ぽんと手すりから身を離し、
「さくらはんとマリアはんは、かすみはんとついさっき出かけたでぇ。何でも新しい舞台の準備がどうとか言うてはったなぁ。すみれはんやアイリスも由里や椿はん達と一緒に三腰で買い物やちゅうて朝からおらんし..カンナはんは空手の出稽古やて。まぁみんなじきに戻るやろ。うちは留守番や。さっきまでちょっと新しい発明品を考えとったんやけどな、うまくまとまらんもんやから、一休みして気分転換にな..」
と言うと一瞬言葉を切り、大神の方を振り向いて
「それより大神はん。その服窮屈やろ?着替えてきはったら?」
と言った。
「ああ、そうするよ。それじゃまた後で・・・」
きびすを返して歩き出す大神の後ろから
「うちもう少しここで街を見とるさかい。」
という声が追ってきた。
2.3歩歩き出した大神は、ふと何かを思いだしたように振り返ると、
「ああ、紅蘭。雪組の隊長さんが紅蘭によろしくってさ!」
とテラスに寄りかかるようにして自分の方を見ている紅蘭に告げた。
「えっ?雪組の・・・」
その名を聞いて何故かニッと思い出し笑いをする紅蘭であった。
  続く