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雪組隊長 @ gw.jpo-miti.go.jp on 98/3/02 12:11:40
その3
(以下 平文は紅蘭の心の声を、『・・・』は紅蘭以外の人の会話です。)作者註
雪組の隊長はんかぁ..なつかしいなぁ...あん人達は変わったところにおるから滅多に会えんしなぁ。熊はん元気にしとるやろか?
って..せっかく人が思い出に浸っとるそばで..なんやの大神はん!涙まで流して大笑いしくさってからに!!
知り合いを笑われると気分悪いなぁ..ちょっと文句の一つも言ったろかい!
「大神はん! そら笑いすぎやでぇ..」
いくら熊に似てるからて...あれっ あかん!熊はんの顔思い出したら、うちまで可笑しゅうなってしもた。考えてみれば、うちが「熊」っちゅうあだ名の原因やったんやわ..
「ぷっ」 吹いてもうた〜 もう止まらん!
「あははははははっ」 もうヤケやぁ!!
『紅蘭だって笑ってるじゃないか。』
もう..大神はんが悪いんやで! 熊はん、かんにんな。
『そういえば、紅蘭によろしくって言ってたけど、知り合いかい?』
聞きたいか?大神はん。よっしゃ、一発語ったろかい!
「うん!うちがこの帝都に来てすぐのこっちゃ。花やしき支部におったときに知り合うたんや。」
「あれはなぁ、うちがあやめはんに連れられて、アイリスの船で神戸から帝都に着いたときや。・・・・」
ん?なんや大神はん、鳩が豆鉄砲くらったような顔しよって!うちの話ちゃんと聞いとるんか? いっちょ脅かしたろ!!ス〜(息を大きく吸い込んで・・と)
「ちょっと!大神はん!! 人の話聞いてはる?」
『えっ?あっ..ああ、き、聞いてるよ!!』
びっくりしとるな。ええ気味や!人の話はちゃんと聞かなあかんでぇ!!失礼や。
ほな、続けまひょか。
(以下は紅蘭の話)作者註
それでな、最初はうちもこの銀座本部に配属されるはずやったんよ。花組やしな。けど、大劇場はまだ建設中でなぁ。歌劇団ちゅうてもな〜んもできんから、米田はんの命令であやめはんの手伝いをすることになったんや。ほら、うちは他のみんなと違うて戦闘技術やら超能力が優れてるっちゅうわけやないしな。それにうち、その頃は人見知りがあってなぁ..
『ええっ!紅蘭が人見知り??』
おや、さくらはんにマリアはん!お戻り!早かったなぁ。もう用は済んだんか? かすみはんは?
『ええ。私たちは衣装合わせだけだから。かすみさんは、舞台装置の発注の手配があるとかで残られましたけど。』
そうか。ところで、今、うちが人見知りやったちゅうとこで、みなさん、声そろえて驚いてくれはったようやけど...
『えっ.あ..ごめんなさい。決して悪気があったわけじゃないのよ。』
『ごめんなさいね、紅蘭。ちょっと意外だったものだから..』
とほほ..マリアはんまで...
『すまん紅蘭。でも紅蘭に人見知りって言葉はなぁ。』
ひどいなぁ大神はん!今まで一体どんな目ぇでうちのこと見てたんや?
『はははっ、ごめんごめん。』
うちかてなぁ、初めて帝都に来た頃は、不安やったんよ...だぁれも知らんこの土地で、うまくやっていけるやろかとか、みんな、うちと仲良うしてくれるやろかとかな..。
うち、中国におった頃はあんまり親しい人ておらんかったんや。機械いじりばっかりしとったさかい、どっちかちゅうと人付き合いて苦手やったしな。周りの人には、女の子ぉで機械いじりが好きな変わりモンや思われとったしなぁ。
『オ〜ッホッホッホ! 変わり者ってところは、今も変わりませんわね。』
うっ!この声は..
『アイリスも前は変な子って言われたよ。』
すみれはん、アイリス ようお戻り!みんな一緒か?
『百合さんと椿さんは、富士屋パーラーへ行きましたわ。かすみさんと待ち合わせなのですって。ところでみなさん、どうなすったんですの?こんな所にお集まりになって。』
『ねぇお兄ちゃん、紅蘭が、また何か面白いハツメイ作ったの?』
『やぁすみれ君にアイリス、おかえり。違うんだ、アイリス。ちょっと紅蘭の昔話をね、みんなで聞いていたんだよ。』
『えっ、昔話ぃ〜!? キャハッ面白そう!アイリスも聞きた〜い!!ねぇ〜、いいでしょ〜!!!』
『あら、紅蘭が身の上話なんて、珍しいですわね。わたくしも是非聞かせてもらいたいものですわ。』
はいはい あんたら何とでも言いなはれ。あんまり面白いもんやないで、アイリス。
ほな続けよな。何処まで話したんやったっけ?
『紅蘭って変な子〜ってとこだったよぉ。』
そうそう、アイリスおおきに..って・・変な子やないで、変わりモンや、変わりモン!
『ふ〜ん。』
『ねぇねぇお兄ちゃん。変わりモンって何?』
『それは、紅蘭みたいな人のことですわ。』
『そうなの?お兄ちゃん!? 』
『う〜ん...(なんて答えて良いものやら・・ (^_^; )』
そこっ!さっきからゴチョゴチョとうるさいでぇ!!人の話はだまって聞くもんや!
とにかく、心細かったんよ。こっちで知っとる人はあやめはんだけやったし。
『アイリスもでしょ〜!!』
せやな、アイリスとは一緒の船で来たんやもんな。
おまけに、帝都に着いたら言葉が違うてたしなぁ。うち、日本に来た当初は神戸ちゅうとこにおったんよ。パーシーはんちゅう偉い学者先生のとこで、機械やら霊子理論やらの勉強を教えてもろてたんや。日本語もそのとき覚えたんや。
『それで紅蘭は関西弁なのかぁ?』
おや、カンナはんお戻り!これでみんなそろったな。
『隊長、それにみんなも、何やってんのさ。』
『やあカンナ、おかえり。空手の稽古だって?がんばるね。俺達かい?今、紅蘭の昔の話を聞いているんだよ。』
『へぇ 面白そうじゃないか!あたいにも聞かせてくれよ!!』
はいはい!!こうなったらみんなで聞いててや!!
ところが、神戸では普通に通じた言葉が、こっちではなかなか通じんわ、変な目ぇで見られるわで、ほんま苦労したもんやで。
『そりゃそうだぜ。あたいも言葉は苦労したな。沖縄とこっちは全然違うし、話が通じないんだよ。もう慣れたけどさ。』
『あたしもです。仙台の言葉で喋るとみんな笑うんですよね。』
せやろ?せやからますます知らん人とは、よう喋らんようになってなぁ。
『今の紅蘭からは、想像もつかないなぁ。』
『でも、わたくしと会ったときには、知らない人であろうが誰であろうが関西弁でまくし立てる謎の中国人という今の紅蘭でしたけど?』
なんやそれ? すみれはん、ひどいなぁ。謎の中国人はないやろ?
『でも、少尉もそうおっしゃってましたわよね?』
『いいっ す、すみれくん...』
ふ〜ん・・大神は〜ん、うち、よ〜く覚えときますわ...(みとれ!いつか改造したるからな!!)
『な、なんで、それが直ったんだい?(^^;』
『声が裏返ってるぜ、隊長』
あははっ! それはなぁ..熊はんと知り合うたからや。
続く
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