(2)を選んだ方へ



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投稿者: かとおおお @ 202.228.225.73 on 98/1/30 22:32:40

In Reply to: 2、を選んだ方へ

posted by かとおおお @ 202.228.225.73 on 98/1/30 22:21:13

『ピンピロリロリーン! アナタノ相性なんばー1ハ、椿サンデス』
「椿ちゃん、やったじゃなーい」
「椿ちゃん、楽しんで来てね」


「椿ちゃん、どこか行きたい所ある?」
「大神さんにおまかせしちゃいます」
「それじゃ、煉瓦亭に行こうか。前に一緒に行こうとして行けなかった所だし」
「うわ〜、いいですね。あたし、あそこのお料理大好きなんです」
「ハハハ、そりゃよかった」

「えーと、たしかこの路地を抜けると近道だったと思うんだけど」
「あ、大神さーん。ちょっと待って下さい」
「ごめん、ごめん。ちょっと早く歩きすぎちゃったか」
「大神さん、そこの公園に寄っていただけませんか?」
「公園? いいよ」

「わー、砂場にブランコ、スベリ台。あ、向こうにはジャングルジムもありますよ! 大神さん、早く〜っ!」
「ハハハ、なんだか子どもの頃に帰ったようなはしゃぎようだね」
「あ、わかりますか? あたしが生まれた家のすぐ近くに、同じような公園があったんですよ。だから懐かしくって……」
「ふーん、そうなのか」
「あたし、おばあちゃん子だったですよ。だから、おばあちゃんに手をひいてもらって毎日のように公園に通ってました。暗くなるまで近所の男の子といっしょになって遊んで……」
「最後は、晩ごはんを親が呼びに来るんだよね。俺も覚えがあるなあ」
「大神さんもですか! うれしいなあ」
「おいおい、椿ちゃん。そのスベリ台、君にはちょっと小さいんじゃないか? あぶないぞ」
「だいじょうぶですよ。……きゃっ!?」
「あ、危ない!!」

ドスン!!

「あいてててて……」
「やだー。あたし大神さんの上に落ちちゃった」
「こらっ、だから危ないって言ったじゃないか」
「ごめんなさーい」
「でも、いかにも椿ちゃんらしいな」
「えっ、そうですか〜?」
「そうだよ。ほかの誰がこんなことするもんか」
「そうですね。エヘヘヘヘへ……」
「アハハハハハ……。
 さ、そろそろ行こうか」
「え、もうですか? もうちょっと遊びたいなあ…。
 そうだ、大神さん。かくれんぼしませんか?」
「おいおい、椿ちゃん……しょうがないな。一回だけだぞ」
「えへへ。じゃ、あたしが鬼をやりますね。百数えるから大神さんは隠れてくださーい。
 いーち、にーい……」

「ようし、ここなら見つからないぞ……」
「あら、こんな所で何をしているの。大神くん?」
「あっ、あやめさん? 実は……」
「へえ、かくれんぼを? さすが大神くんねー。なかなかできないことよ」
「そ…そうですか?」
「椿ちゃんも親元から離れてここに来て……ふだん、あんまり遊ぶ人がいないでしょう?
きっと、寂しかったのよ。大神くんなら甘えられる、って彼女も思ったのね」
「そう…なんですか」
「帝劇に来ているあの子たちは、みんなそれぞれの悩みや思いを抱えているわ。でも、大神くんのおかげで、今までうまくやってこれたのよ。これからも頼りにしているわ」
「あやめさん……」

「きゅうじゅきゅ、ひゃーく! 大神さーん、もういいかーい!」
「ほーら、椿ちゃんが呼んでるわ。あの娘たちのこと、頼んだわよ! 大神くん」
「はい、あやめさん!」
そう答えると大神は力いっぱい叫んだ。

「椿くーん! もういいよーーっ!」



(完)




(完)