師走大戦「ある雪の日の出来事・前編」(長文)



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投稿者: じぇねらる @ proxy.kcn.or.jp on 97/12/07 01:03:52

テラスから見える白銀の世界・・・私には見慣れたこの景色も、
この街にとっては異常事態だ。都市機能はマヒしてしまう。
この分では、今日の公演は中止だろう。

日本に来たばかりの頃、冬は嫌いだった。
捨てた故郷を思い出すから。
あの人を思い出すから・・・隊長・・・

大神「マリア、こんなところにいたのか!」

ふいの呼びかけに私は振り向く。

マリア「隊長・・・どうしたんです?」

大神一郎少尉・・・エリート軍人のハズなのに、軍人らしくない人

大神「公演が中止になってね、雪合戦をしようという話になった
んで、呼びに来たんだ」

これだ・・・この人の良い青年を見て”あの帝撃の隊長”と思う人
は誰もいないだろう。
私の顔に、思わず笑みが浮かぶ。

大神「どうした?俺の顔に何かついてる?」

マリア「いえ、別に・・・」

しかし私は知っている。彼は優しさを強さに変えられる人だと。
だからこそ、私たちはあの激戦を勝ち抜いてこれたのだ。

マリア「さ、行きましょう隊長!負けませんよ!」

大神「こっちこそ!」

今の私にとって、隊長はまぎれもなく彼だ。
彼とともなら、日本の冬もそう悪いものではない・・・