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投稿者:
えんかいくん零式 @ slip202-135-63-81.kw.jp.ibm.net on 97/9/07 13:10:02
「お誕生日おめでとう!」
全員の声が食堂に響いた。拍手を受けたカンナは、どうにも照れくさそうである。
「いやあ、すまねえな、みんな。あたいのために」
「カンナ、おめでとう。これは私からのプレゼントよ」
マリアが赤いリボンの掛かった小箱を取り出した。
カンナはマリアに確認するでもなく、さっそくその小箱を開け始めた。
「マ、マリア。これをあたいに?」
カンナが箱から取り出したのは、銀製の小さなペンダントだった。
「けっこう似合いそうじゃないか、カンナ」
大神の一言に、カンナはどこかはにかんだ笑顔を見せた。
「ええっ、そうかな。ははは」
「おほほほ。少尉、いくら誕生日だからって、そんな見え透いたお世辞を言ってはいけませんわ。そこの『でかぶつさん』が何か勘違いをされてしまいますから」
「なんだとぉ」
すみれの言葉にカチンと来たカンナがすみれを睨み付けた。すみれも負けじと睨み返す。
「すみれさん。せっかくの誕生会なんですから」
「さくらさん。あなたは黙ってらっしゃい。私は本当のことを言ってあげているだけですわ」
「やれやれ、ま〜た始まったでえ」
そう言いながら紅蘭は、テーブルの上からオードブルを摘み上げるとセッセと口に運んでいる。どうやら観戦気分でいるらしい。
「お兄ちゃん、早く止めないと」
アイリスに言われるまでもなく、大神は二人の間に割って入った。
「いい加減にしないか。二人とも」
ドン!!
カンナの右手の一突きで大神の体は食堂の柱まで吹き飛んでしまった。どうやら怒りに燃えているカンナの目には、大神もただの障害物にしか映らないらしい。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「ううぅ。どうすりゃいいんだぁ。ああ、胃が痛くなってきた」
「大丈夫や大神はん。そんなこともあろうかと、うち特製の胃薬を用意しておいたんや」
紅蘭がニコニコしながら小さな薬包紙を取り出した。
「...いや。それはいらない」

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