![]() ![]() 投稿者: @ pppb853.pppp.ap.so-net.or.jp on 98/3/19 14:13:15
「やった〜、ついにアレントに着いたんだ〜!」 美佳は一人で店の中に入っていってしまいました。 「やれやれ...」 カイは店の外でしばらく立っていました。 「遅いな...」 どうやら誰かを待っているようです。 しかし待ち人が来ぬようなので、カイも店で待つ事にしました。 自分の剣が妙に重い気がしましたが、気には留めませんでした。 「これは...」 店に入ったカイは、異様な雰囲気にすぐ気付きました。 客がいません。それはともかく、店員もいる気配がありません。 美佳の姿も見えません。やけに静かです。妙な空気も感じます。 急いで奥の事務室へ入ったカイは、絶句しました。 そこには瑠原が倒れていたのです。 「...!」 カイは瑠原を抱き起こすと、すでに彼の息は尽きていました。 「馬鹿な...そんな馬鹿な...」 ハッとするカイ。 「そうだ...美佳...!」 一面にテレビのような画面がある一番奥の部屋。 そこで、仮面の黒服と長身の男が、激しく戦っています。 美佳は、気絶して部屋の隅に倒れていました。 「私の邪魔をするな」仮面の男が言います。 「うるせえ。テメーこそ人の家族を誘拐するな」 「私はどちらの塔も望まない。」 仮面の黒服は、男をつかむと片手で投げ飛ばしました。 壁に叩き付けられる男。にぶい音がしました。 「じゃーどっか行けよ!」 男はひるまず黒服に向かっていきました。 しかし男の攻撃は、なぜか黒服の体に触れる事ができません。 ガチャ! 部屋のドアが空き、カイが走り込んできました。 「...先輩!?なんでこんな所に!」 「カイか!話は後だ、とにかくこいつぶっ殺そうぜ!」 「用済みの解か...丁度いい、まとめて死ね」黒服はカイを見て言いました。 「先輩、危ない!」カイが黒服に斬りかかります。 ...しかし、当然のように弾かれてしまいました。 「カイ、イフの力を使え!」 「...!?」男の言葉に、カイは激しく動揺しています。 「それしか手は無ぇ!」叫ぶ男。 「先輩、そんな...あれだけは...あれだけは...」 そう言うカイの腕は震えていました。間違いなくためらっています。 「バカ野郎!このままじゃ・・・全員・・・!」男は首を絞められています。 「カ・・・イ・・・美佳を・・・助ける・・・ため・・・だ・・・!」 黒服はもう一方の手で男の胸を貫き、男を投げ捨てました。 「先輩...!」 カイはそれを見て逆上したのか、黒服に猛然と斬りかかりました。 「お前たちを見ていると空しくなる」黒服は片手で剣を受け止めます。 「ぬお・・・お・・・!」カイは力を込めました。 「無駄だ。やめておけ」 「くおおおお・・・!」 「そんなに早く死にたいのか?変な奴だな」 黒服は剣を受け止めた手に力を入れました。カイの剣にヒビが入っていきます。 ガキーンッ!という音をたて、剣は崩れていきました。 すると剣から青い液体が吹き出し、カイと黒服はその一部を浴びました。 液体は、次第に女性の姿を構築していきます。 「...!?」カイは何が起きたのか理解できません。 「...ッ!...これは驚いたな」黒服は平生を保っていますが、かなり苦しそうです。 女性の姿が完全に構築されるとそこには、ティクアの姿がありました。 バチッという音とともに、部屋の画面に映像が一斉に映りだしました。 「隊長!しっかりして下さい!」 「私に構わず、逃げるんだっ」 「隊長、自分は隊長を見捨てて逃げる事などできないであります!」 「バカ者ォ!貴様の恋人がプレゼントを待っているのではなかったのかッ!」 「た、隊長〜、自分は...自分は...」 どうやら、映画か何かのワンシーンのようです。 「フ...物語って、こんなのばかりね」 ティクアらしき物はそう言って美佳に近づいていきます。 「そろそろ本当のお話を聞かせてあげましょうよ」 「・・・!」カイは意識を失っていきました。 「ゲノンの力、返してもらうわよ」美佳を抱きかかえるティクア。 「クッ、これだから塔のやつらは嫌なんだ」黒服が立ち上がりました。 明日は21日の振り替え休日という事でお休みです。 第15話「旅立ち」は、23日にUPされる予定です。 ![]() ![]() |