![]() ![]() 投稿者: @ pppb7ca.pppp.ap.so-net.or.jp on 98/3/18 13:28:45
その女性は、ゆっくり歩み寄ってきました。 「それ以上近づけば、斬るが。」カイが静止します。 「お久しぶりね、カイ・・・だったかしら?"今は"。」 「?...あいにく俺はアンタと初対面なんだが」 「そう。覚えてないのね」 「こんにちは、お姉さん」美佳が挨拶しました。 「おい、挨拶してる場合か」つっこむカイ。 「こんにちは、"今は"何て名前なの?」 「美佳です。よろしく」 「そう。随分適当な名前ね。そのままだわ」 彼女はそう言ってクスクス笑っています。 「私はティクア、どうぞよろしく」 美佳は、また変なのが出てきたなぁ...と思っていました。 「で、何の用だ?」カイがティクアに剣を突きつけました。 「ちょっと、危ないじゃない。何するのよ!」美佳が怒ります。 「黙ってろ。」 「・・・。」ティクアは全く動じません。 「おい、ティクアとか言ったな。ゲノンの幹部が俺達に何のようだ」 「決まってるわ。構図と媒体を返してもらうのよ。」 「させると思うか?」 「思わないけれど」 突然、ティクアはカイの剣にくちづけしました。血...でしょうか? 彼女の唇から青い液体が流れ、カイの剣を伝っていきます。 瞬間、カイは跳躍し、既にティクアの頭上高くにいました。 「死ね」ティクアの脳天めがけて剣を振り下ろします。 「ダメッ、やめなさい!」美佳が止めます。 「さようなら。」 ・・・とティクアは言いました。 「...見ろ」 ティクアを斬った後、カイが言います。 真っ二つになった筈の彼女の体が、うにょうにょ変化していきました。 やがて螺旋をえがくと、その姿は消滅してしまいました。 「何アレ、すごーい。お化けだったのねぇ...なるほど〜...」 「奴らは化け物みたいな物だ。しかし...君は気持ち悪くないのか?」 「別に?平気だけど?」 「そ、そうか・・・凄いな...じゃ、先を急ごう。 危ないから箱にはもう乗れんが、もうすぐの筈だ」 二人は、住居の密集した土地に出ました。 立て札には、"ニコニコタウン"と書かれています。 「確か、この地区の近くの筈だが...」カイは町の地図を見ています。 美佳は、あたりを見回してみました。 公園には老夫婦が散歩しています。 本屋では学生たちが立ち読みしています。 そばのベンチには営業の人が寝ています。 道を子供たちがキャーキャー騒ぎながら走っています。 ドン! 小さな女の子が美佳にぶつかりました。 「おねーちゃんだいじょーぶ?」女の子が謝ります。 「うん平気。気を付けてね」 女の子はパタパタと子供たちの輪に戻ります。 「こんどは俺が勇者の役な!」 「じゃ、あたしソニア!」 「俺、ルバラ!」 「じゃ僕、またシンの役なの?...やだな...」 「もう!私がセリアの役やってあげるから、我慢しなさいよ」 「トージはさっき竜の役だったから、次は何がいい?」 「そやなぁ...木村の役でええか?」 「いいけど・・・変な役が好きなんだなぁ」 「じゃ、さっきの続きからね!」 「おう、はやく行こーぜ!」 子供たちはまたキャーキャー言って走っていきました。 「...レンタルサービスA RENT...これか。おい、あったぞ。」 「ね、ここって活気のあるいい町ね」美佳は、町を見渡して言いました。 「・・・そう思うか」カイは、なんだか寂しそうです。 「ま、実際...昔に比べるとずっと住みやすい街になったのかも知れんがな」 「?・・・で、お店の場所は解ったの?」 「ああ、大体な」 二人は、いよいよ目的地に到着するようです。 「(色々あったけどそれなりに楽しかったな〜・・・そうそう! おつかいが済んでウチに帰ったら、お兄ちゃんのノート見せてもらわなきゃ!)」 美佳はこの短い旅の終わりが近づき、うきうきしているようです。 「・・・あれだな。」 「ワーイ!行こう行こう!」 「ち、ちょっと待て・・・!」 一人で店の中に走って行く美佳。カイは「やれやれ...」と思いながらついていきます。 第14話「二人の死」は、19日にUPされる予定です ![]() ![]() |