投稿者: @ pppb7a1.pppp.ap.so-net.or.jp on 98/3/17 13:43:50
戻ってきたカイは何と、女装していました。 「あははははははははははははははは」大笑いする美佳。 「・・・さぁ、行くぞ」 カイは引き締まった表情で言いました。 「あはははははははははははははははははははは」 それを聞いた美佳はさらに爆笑しました。 「な、何がおかしい!」 「何がって、全部おかしいよう!アハハハハ」 「だっ、誰のためにみんな格好してると思ってるんだ!」 カイは顔を真っ赤にして言いました。 「誰って...あなたの趣味なんじゃないの?」 「バカを言うな!・・・とにかく、行くぞ」 駅は独特な空気に包まれていました。 まわりの男たちが美佳たちをジロジロ見ます。 「(あれを見ろ)」カイが標識を指さし、小声で言いました。 「あれは・・・?・・・男性車両・・・?」 「(名前のとおりだ。それには男しか乗れない)」 「じゃあ、アレは女の人しか...」 「(そうだ。俺も乗るのは初めてだがな。)」当たり前の事を言うカイ。 「ふぅん。」 「・・・。」 「ひょっとして、二人であの箱に乗るから女装したの?」 カイはうなずいて見せました。 「ふぅん。でもそれなら、私が男の子の格好しても良かったんじゃ...」 「ダメだ!」 カイがさえぎって言いました。思わず大声を出してしまいましたが・・・ 幸い、誰にも気付かれずに済んだようです。 「ち、ちょっと、バレたら大変じゃない。静かにしてよ」 「(あ、ああ。すまん)」 箱の中は、本当に女性しか乗っていませんでした。 それは静かで平和な美的空間と思われましたが・・・。 乗客たちは皆、友達同士でベラベラしゃべっていました。 「やっぱりこっちの箱よね」 「ウンウン、痴漢とかいないしね」 「綺麗だしね」 「けど彼と一緒に乗れないのがちょっとイヤかなー」 「しょーがないじゃん。自由車両って最悪だし」 「ウン、怖くて乗れないよね」 「そうねぇ、確かに昔はサイテーだったわ...」 「自由車両しか無かったなんて、今じゃ考えられないよホント」 「塔が建ってから、凄くいーカンジになったよね」 大声で笑ったり、足を組んだり、グースカ寝たり... 乗客たちのがさつな様子を見て、カイはびっくりしていました。 「(おい...女って、男がいない所だといつもあんなのか?)」 カイは美佳に耳打ちしました。 「え?そうだけど?何かヘンなの?」 「・・・。(いや...別に...)」 カイは、しばらくすると突然険しい表情になりました。 「次の駅で降りるぞ」 箱を降りた二人は人気の無い場所に出ました。 すると、美佳が前に見た青年が現れました。 「似合ってるぜ、その格好」 「...うるさい」 「ヒヒ、そう邪険にするなよ・・・」 「・・・。」 「おっ?その顔だと気付いてるようだな。 「・・・当たり前だ、なめるな」 「まずいぜ。いきなり幹部が来やがった... 不本意だが、手をかしてやる」 「いや、いい。」 「・・・本気か?」 「俺は負けん」 「・・・じゃ、しっかり頼むぜ。お前が死んだら俺が出る」 そう言うと、瑠原は立ち去りました。 「(なんでわざわざこの格好の時に...ああ、恥だ...) ・・・おい、それより君の機械を出しておけ」 「?」 「いいから早く!」 美佳は、さっぱり訳がわかりませんでしたが、 言われるままにリュックから取り出しました。 すると、ピコピコと音がして画面に何か表示されます。 Tell :enemy-human-femme Lv :She is above the miccua...danger! Estimate skill :...unknown Hobby:cooking 「・・・チッ、わからんか」 「なになに、どうしたの?何これ」 「俺もよく知らん。異国の言葉らしい。 それより...いいか?これから何があっても"驚くな"よ?」 「え?なんで?」 「なんでもだ。」身構えるカイ。 ふいに、前から一人の女性が歩いて来ます。 第13話「二つの塔」は、18日にUPされる予定です |