だれかのみたゆめ 第12話



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投稿者: @ pppb7a1.pppp.ap.so-net.or.jp on 98/3/17 13:43:50


第12話 「塔よりの刺客」



戻ってきたカイは何と、女装していました。
「あははははははははははははははは」大笑いする美佳。
「・・・さぁ、行くぞ」
カイは引き締まった表情で言いました。
「あはははははははははははははははははははは」
それを聞いた美佳はさらに爆笑しました。
「な、何がおかしい!」
「何がって、全部おかしいよう!アハハハハ」
「だっ、誰のためにみんな格好してると思ってるんだ!」
カイは顔を真っ赤にして言いました。
「誰って...あなたの趣味なんじゃないの?」
「バカを言うな!・・・とにかく、行くぞ」


駅は独特な空気に包まれていました。
まわりの男たちが美佳たちをジロジロ見ます。
「(あれを見ろ)」カイが標識を指さし、小声で言いました。

[↑男性車両 →女性車両 ←自由車両]


「あれは・・・?・・・男性車両・・・?」
「(名前のとおりだ。それには男しか乗れない)」
「じゃあ、アレは女の人しか...」
「(そうだ。俺も乗るのは初めてだがな。)」当たり前の事を言うカイ。
「ふぅん。」
「・・・。」
「ひょっとして、二人であの箱に乗るから女装したの?」
カイはうなずいて見せました。
「ふぅん。でもそれなら、私が男の子の格好しても良かったんじゃ...」
「ダメだ!」
カイがさえぎって言いました。思わず大声を出してしまいましたが・・・
幸い、誰にも気付かれずに済んだようです。
「ち、ちょっと、バレたら大変じゃない。静かにしてよ」
「(あ、ああ。すまん)」


箱の中は、本当に女性しか乗っていませんでした。
それは静かで平和な美的空間と思われましたが・・・。
乗客たちは皆、友達同士でベラベラしゃべっていました。
「やっぱりこっちの箱よね」
「ウンウン、痴漢とかいないしね」
「綺麗だしね」
「けど彼と一緒に乗れないのがちょっとイヤかなー」
「しょーがないじゃん。自由車両って最悪だし」
「ウン、怖くて乗れないよね」
「そうねぇ、確かに昔はサイテーだったわ...」
自由車両しか無かったなんて、今じゃ考えられないよホント」
「塔が建ってから、凄くいーカンジになったよね」
大声で笑ったり、足を組んだり、グースカ寝たり...
乗客たちのがさつな様子を見て、カイはびっくりしていました。
「(おい...女って、男がいない所だといつもあんなのか?)」
カイは美佳に耳打ちしました。
「え?そうだけど?何かヘンなの?」
「・・・。(いや...別に...)」
カイは、しばらくすると突然険しい表情になりました。
「次の駅で降りるぞ」


箱を降りた二人は人気の無い場所に出ました。
すると、美佳が前に見た青年が現れました。
「似合ってるぜ、その格好」
「...うるさい」
「ヒヒ、そう邪険にするなよ・・・」
「・・・。」
「おっ?その顔だと気付いてるようだな。
「・・・当たり前だ、なめるな」
「まずいぜ。いきなり幹部が来やがった...
 不本意だが、手をかしてやる」
「いや、いい。」
「・・・本気か?」
「俺は負けん」
「・・・じゃ、しっかり頼むぜ。お前が死んだら俺が出る」
そう言うと、瑠原は立ち去りました。
「(なんでわざわざこの格好の時に...ああ、恥だ...)
 ・・・おい、それより君の機械を出しておけ」
「?」
「いいから早く!」
美佳は、さっぱり訳がわかりませんでしたが、
言われるままにリュックから取り出しました。
すると、ピコピコと音がして画面に何か表示されます。




Tell :enemy-human-femme
Lv :She is above the miccua...danger!
Estimate skill :...unknown
Hobby:cooking




「・・・チッ、わからんか」
「なになに、どうしたの?何これ」
「俺もよく知らん。異国の言葉らしい。
 それより...いいか?これから何があっても"驚くな"よ?」
「え?なんで?」
「なんでもだ。」身構えるカイ。

ふいに、前から一人の女性が歩いて来ます。


つづく



第13話「二つの塔」は、18日にUPされる予定です