だれかのみたゆめ 第9話



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投稿者: @ pppb794.pppp.ap.so-net.or.jp on 98/3/12 12:40:13


第9話 「友情」


美佳は扉を抜け通路を走っていました。
すると、広間に出ました。
「...!」
そこには、寮長が倒れていました。
そして不気味な仮面を付けた人たちがいました。
美佳を見て、仮面たちは一斉に襲いかかってきました。
「ひぇ~」逃げる美佳。
あともう少しで追いつかれる、というその時。
ザザザザザンッ!...後ろで何か音がしました。
見ると仮面たちは倒れていて、一人の青年が立っています。
その青年を見て、美佳は驚きました。
何と、友人の由紀が憧れている"あの人"だったのです。
しかし彼は、美佳以上に驚いていました。
「久々に見せてもらったぜ」
"あの人"の後ろから声がして、もう一人の青年が現れました。
「現役を退いたとはいえ、さすがは元・四天王といったところか」
「黙れ瑠原...それより、この子は...!?」
「なんだ知り合いか?」
「い、いや・・・。...この子が、そうなのか?」
「ああそうだ。じゃ、後は頼んだぞ。」
「わかった。」
もう一人の青年は姿を消しました。
あの人は、美佳に言いました。
「俺はカイ。話は後だ、ここを出るぞ。時計は持ってるな?」
「えっ...うん。(何で時計の事を知ってるんだろう)」

走る二人。
「ねぇっ!」美佳は、走りながらカイに尋ねました。
「この建物一体、何なの!?あなた誰?さっきの変な人たちは...」
「...話は後だと言ったはずだ。いいから走れ」
「別に私、あなたに付いていかなくてもいいんだけどなぁ」
「こ、こんな時に・・・汚いぞっ・・・!」
「ふぅん、何か今すごい事態になってるんだ」
「・・・くっ!しょうがない...簡単に説明するぞ、走りながら聞け。」
「ワーイ、ヤッター!」
「君は今、狙われている。というより、家を出た時点で狙われていた」
「ヘ?なんでなんで?私なんにもわるいコトしてないよ?」
「少しは黙っててくれ...さっきの奴等は君の時計を狙ってる。」
「・・・。」
「我々は、その時計と君を保護しながら奴等の野望を阻止する団体...
 そう考えてくれればいい。...君はお兄さんから何も聞いていないのか?」
・・・・・・・・・うん、何にも。」
「そうか...先輩らしいな。」
「・・・。」
「で、この建物は、奴等に狙われた君のような非力な女性を保護する施設だ。
 元々は大きな病院だったらしいから、妙な部屋がいくつもある。」
「それでこんなに入り組んでいるのねぇ」
「そういう事だ。」
「わかった...あなたと一緒に行くね。どうせ道案内してくれるんでしょ?」
「ああ、そうしてくれ。俺も助かる。」

二人が走り続けると、突き当たりに扉が見えてきました。

「あのエレベータから出られる筈だ。・・・むっ?」
ふと見ると、そこには少女が立っています。
「み、みもりちゃん!何でこんな所に・・・!?」少女は深森でした。
「おねぇちゃん、私をおいて行かないで...」
しかし、何か深森の様子が変です。目が暗く染まっていました。
「...奴から離れろ。」カイが言いました。
「え?」
「今あいつは操られてる状態だな。すぐ倒すからちょっと伏せてろ。」
「やめて!せめて眠らせるとか何とか...できないの!?」
「クッ、そんな余裕があればいいがな」
「どうにかしてよ!あの子に乱暴するなら、私帰るからね」
「バカッ、よそ見するなっ」
「おねぇちゃん、私と一緒に来て・・・」
次の瞬間、深森が指先から光の線を発しました。
光線は美佳めがけて一直線に襲いかかります。
「ーッ!」
カイは、美佳をかばって光の線を受けました。倒れる、カイ。
「やめて!みもりちゃん、一体どうしちゃったの!?」
「パパもママもいなくなっちゃった。お爺ちゃんも出かけてばかり...
 みんな深森のコトきらいなんだ・・・深森といたくないんだ・・・」
なんだか、美佳は深森が可哀相になってきました。
「どうしよう・・・」
深森は友達。
その友達に誘われた。拒んだ。
なぜ拒んだ?
先を急ぐから。何かの危険を感じるから。
本当に危険なのか?カイが撃たれた。
カイを由紀は好いている。
由紀は友達ではないのか?いや、友達だ。
転入生の美佳に優しくしてれた親友だ。
では、カイを放っておいていいのか?
「ダメ・・・」
ではどうするのか。
どうする?
どうする?
どうすればいい・・・
「そうだ!ねぇみもりちゃん、この人を治してあげて」
「!?」
「そしたら私は一緒に行くからさ」
「・・・バ、バカな事を言うなっ・・・!」カイが止めます。
「いいからいいから、時計は後で届けるからさ。・・・ねっいいでしょ?」
「君は正気なのかっ・・・!?」
「ま、どーにかこーにかなるでしょう。さぁ、深森ちゃん。治してあげて」
すると深森は突然、コワイ男の人の声で言いました。
「お前、俺をなめてるだろ...それか、ホントのバカか?」全く別人のようでした。
「バ、バカ...!?誰だか知らないけどシツレイな人ね。けど大丈夫なんだもんね」
「何が大丈夫なものかっ...」焦るカイ。
「そうだそうだ、お前常識的に考える事ができないのか?」呆れる深森。
「どうせ私がいないとこの時計動かないんでしょ?だから奪わなかった」
「~ッ!!!」狼狽する深森とカイ。
「貴様、気付いていたのか・・・!」深森はなぜか苦しそうです。
「その時計、しばらく預けておく!」そういった途端、深森は倒れました。
「あ、あれ?」美佳は拍子抜けしてしまいました。



塔。
「報告します!先刻渓谷地帯のコロニーが例の襲撃を受けました。
 瑠原とカイがこれを鎮圧。媒体・構図は無事です。」
「わかった。では店長の命令を待とう。」
「ハッ!」
「しかしお互い大変だよなぁ、たまの連休に」
「仕方ないであります。隊長は家族と家のローンのために我慢であります。」
「倅がヘタに有名私大に合格したもんだからなァ、俺の小遣いが益々減ってくよ」
「自分も、彼女にプレゼントをせがまれたので、カツカツの生活であります。」
「まぁ単身赴任してる奴もいるんだから贅沢は言えないが、たまには呑みたいなぁ」
「全くであります...。」


つづく




第10話「背徳の町」は、13日にUPされる予定です