投稿者: @ pppb794.pppp.ap.so-net.or.jp on 98/3/12 12:40:13
美佳は扉を抜け通路を走っていました。 すると、広間に出ました。 「...!」 そこには、寮長が倒れていました。 そして不気味な仮面を付けた人たちがいました。 美佳を見て、仮面たちは一斉に襲いかかってきました。 「ひぇ〜」逃げる美佳。 あともう少しで追いつかれる、というその時。 ザザザザザンッ!...後ろで何か音がしました。 見ると仮面たちは倒れていて、一人の青年が立っています。 その青年を見て、美佳は驚きました。 何と、友人の由紀が憧れている"あの人"だったのです。 しかし彼は、美佳以上に驚いていました。 「久々に見せてもらったぜ」 "あの人"の後ろから声がして、もう一人の青年が現れました。 「現役を退いたとはいえ、さすがは元・四天王といったところか」 「黙れ瑠原...それより、この子は...!?」 「なんだ知り合いか?」 「い、いや・・・。...この子が、そうなのか?」 「ああそうだ。じゃ、後は頼んだぞ。」 「わかった。」 もう一人の青年は姿を消しました。 あの人は、美佳に言いました。 「俺はカイ。話は後だ、ここを出るぞ。時計は持ってるな?」 「えっ...うん。(何で時計の事を知ってるんだろう)」 走る二人。 「ねぇっ!」美佳は、走りながらカイに尋ねました。 「この建物一体、何なの!?あなた誰?さっきの変な人たちは...」 「...話は後だと言ったはずだ。いいから走れ」 「別に私、あなたに付いていかなくてもいいんだけどなぁ」 「こ、こんな時に・・・汚いぞっ・・・!」 「ふぅん、何か今すごい事態になってるんだ」 「・・・くっ!しょうがない...簡単に説明するぞ、走りながら聞け。」 「ワーイ、ヤッター!」 「君は今、狙われている。というより、家を出た時点で狙われていた」 「ヘ?なんでなんで?私なんにもわるいコトしてないよ?」 「少しは黙っててくれ...さっきの奴等は君の時計を狙ってる。」 「・・・。」 「我々は、その時計と君を保護しながら奴等の野望を阻止する団体... そう考えてくれればいい。...君はお兄さんから何も聞いていないのか?」 「・・・・・・・・・うん、何にも。」 「そうか...先輩らしいな。」 「・・・。」 「で、この建物は、奴等に狙われた君のような非力な女性を保護する施設だ。 元々は大きな病院だったらしいから、妙な部屋がいくつもある。」 「それでこんなに入り組んでいるのねぇ」 「そういう事だ。」 「わかった...あなたと一緒に行くね。どうせ道案内してくれるんでしょ?」 「ああ、そうしてくれ。俺も助かる。」 二人が走り続けると、突き当たりに扉が見えてきました。 「あのエレベータから出られる筈だ。・・・むっ?」 ふと見ると、そこには少女が立っています。 「み、みもりちゃん!何でこんな所に・・・!?」少女は深森でした。 「おねぇちゃん、私をおいて行かないで...」 しかし、何か深森の様子が変です。目が暗く染まっていました。 「...奴から離れろ。」カイが言いました。 「え?」 「今あいつは操られてる状態だな。すぐ倒すからちょっと伏せてろ。」 「やめて!せめて眠らせるとか何とか...できないの!?」 「クッ、そんな余裕があればいいがな」 「どうにかしてよ!あの子に乱暴するなら、私帰るからね」 「バカッ、よそ見するなっ」 「おねぇちゃん、私と一緒に来て・・・」 次の瞬間、深森が指先から光の線を発しました。 光線は美佳めがけて一直線に襲いかかります。 「ーッ!」 カイは、美佳をかばって光の線を受けました。倒れる、カイ。 「やめて!みもりちゃん、一体どうしちゃったの!?」 「パパもママもいなくなっちゃった。お爺ちゃんも出かけてばかり... みんな深森のコトきらいなんだ・・・深森といたくないんだ・・・」 なんだか、美佳は深森が可哀相になってきました。 「どうしよう・・・」 深森は友達。 その友達に誘われた。拒んだ。 なぜ拒んだ? 先を急ぐから。何かの危険を感じるから。 本当に危険なのか?カイが撃たれた。 カイを由紀は好いている。 由紀は友達ではないのか?いや、友達だ。 転入生の美佳に優しくしてれた親友だ。 では、カイを放っておいていいのか? 「ダメ・・・」 ではどうするのか。 どうする? どうする? どうすればいい・・・ 「そうだ!ねぇみもりちゃん、この人を治してあげて」 「!?」 「そしたら私は一緒に行くからさ」 「・・・バ、バカな事を言うなっ・・・!」カイが止めます。 「いいからいいから、時計は後で届けるからさ。・・・ねっいいでしょ?」 「君は正気なのかっ・・・!?」 「ま、どーにかこーにかなるでしょう。さぁ、深森ちゃん。治してあげて」 すると深森は突然、コワイ男の人の声で言いました。 「お前、俺をなめてるだろ...それか、ホントのバカか?」全く別人のようでした。 「バ、バカ...!?誰だか知らないけどシツレイな人ね。けど大丈夫なんだもんね」 「何が大丈夫なものかっ...」焦るカイ。 「そうだそうだ、お前常識的に考える事ができないのか?」呆れる深森。 「どうせ私がいないとこの時計動かないんでしょ?だから奪わなかった」 「〜ッ!!!」狼狽する深森とカイ。 「貴様、気付いていたのか・・・!」深森はなぜか苦しそうです。 「その時計、しばらく預けておく!」そういった途端、深森は倒れました。 「あ、あれ?」美佳は拍子抜けしてしまいました。 塔。 「報告します!先刻渓谷地帯のコロニーが例の襲撃を受けました。 瑠原とカイがこれを鎮圧。媒体・構図は無事です。」 「わかった。では店長の命令を待とう。」 「ハッ!」 「しかしお互い大変だよなぁ、たまの連休に」 「仕方ないであります。隊長は家族と家のローンのために我慢であります。」 「倅がヘタに有名私大に合格したもんだからなァ、俺の小遣いが益々減ってくよ」 「自分も、彼女にプレゼントをせがまれたので、カツカツの生活であります。」 「まぁ単身赴任してる奴もいるんだから贅沢は言えないが、たまには呑みたいなぁ」 「全くであります...。」 第10話「背徳の町」は、13日にUPされる予定です |