だれかのみたゆめ 第8話



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投稿者: @ pppb86b.pppp.ap.so-net.or.jp on 98/3/11 11:43:43


第8話 「お嬢様になっちゃった!?」


逃げ出す事も無理。かと言って倒す事はもっと無理。
美佳は、男たちについていく事にしました。
勿論、隙あらば逃げ出すつもりです。しかしなぜか
男たちは先導するだけで、美佳を拘束しませんでした。
すこし歩いたところで、男が言いました。
「ファヘヘヘヘ、着いたぜお嬢ちゃん」
見るとそこには、まるで刑務所のような建築物があって、
表札には”私設女子寮<ラーゲリ>”と書かれていました。
入ると、何人ものむさくるしい男たちがウロウロしていました。
美佳はなんで女子寮に男が?と思いました。
「ヒへへへ、新入り<アラメン>だぜ・・・」
「"出産"の房に入るらしいぜ」
「カヘヘヘヘ、そりゃあ楽しみだな...」
下卑た男たちは美佳を見て野卑に笑いました。
「ウヘェ、あいつは俺が世話してやりてぇなぁ」
「そうか?さっき入った奴より不細工じゃないか?」
"不細工"と聞いて美佳はムカッとしましたが、我慢しました。

「さぁ、寮長に挨拶しな」
ガチャッ...
扉を開くと、そこにはおばさんが座っていました。
「寮長、連れてきたぜ」
「お前たち、手荒な真似はしなかったろうね?」
おばさんはキっツい声で言いました。
「ヘェ、勿論でさぁ」
おばさんは美佳にニコリと笑って言いました。
「お嬢ちゃん、無理にお連れしたみたいでごめんなさいね」
今度はとても優しい声...思わず安心する程でした。
「私は北に向かってるんだけど...ここは一体?」
おばさんは少し考えて、言いました。
「お嬢ちゃんをお連れしな」
美佳はまた別室に連れて行かれます。
「ヘヘッ、さぁ入るんだ」
ギィィィィィー...
「ここは・・・!?」
美佳は目を疑いました。
まるで保育園のような部屋...
暖色系の心あたたまる空間でした。奇麗な花も飾られています。
とても同じ建物の中とは思えませんでした。その中では、
小さな女の子達がおままごとをしたりして遊んでいます。
部屋の奥のソファーには若い娘たちが座って談笑していました。
美佳と同じ年頃の子も何人かいます。
「おい新入り、皆と仲良くするんだぜ」
男は扉を閉めた後どこかへ行ってしまいました。

聞けば、彼女たちも美佳と同じようにここに着たという事でした。
「どうして逃げないの?」美佳は皆に聞いてみました。
「逃げる?どうして?」
すると彼女たちは不思議そうに答えました。
「ここの暮らしは素晴らしいのよ」
「何の不自由もないもの」
「部屋は広いし個室も奇麗だし」
「プールも体育館も花畑もあるしね」
「そうそう、出て来るお料理も美味しいのよ」
「望めば大体の物は用意してくれるんだから」
「アタシ、村の生活になんて戻りたくないわ」
美佳は最初あっけにとられました。しかし、
もしそれがホントならここはいい所なのかも知れません。
少なくとも、危険な場所では無さそうです。
美佳は、しばらくここ楽しんでから出かけようと思いました。
話は機会を見て寮長に聞きに行けばいいと考えました。
それに、持ち前の好奇心が爆発したのです。
・・・この建物の事を、もっと知りたい。

美佳は、部屋の人たちとすぐに仲良くなりました。
皆、優しくていい人ばかりで、色々と美佳の面倒も見てくれました。
美佳は年下の女の子たちの人気者でした。
中でも、深森という子は美佳によくなつきました。
美佳は、ああ...ここで暮らすのも悪くないなぁ、なんて考えたりしました。
そうして、何日かが過ぎました。
その間、美佳は愉快で優雅な生活を存分に楽しみました。

ある晩、爆音がして美佳たちは目が覚めました。
普段閉まっている扉が開いています。一体どうしたのでしょうか?

つづく



第9話「友情」は、12日にUPされる予定です