そして私は今日、卒業式を迎えた。「あなた」へ。詩



[ このメッセージへの返事 ] [ 返事を書く ] [ home.html ]



投稿者: AZ2 @ user034.janis.or.jp on 98/3/05 20:36:41

想いをよせた、または通じあえた人たちへの気持ちは
たとえそれが過去の話であっても、まだ完全に途切れてはいない。
しかし「あなた」への想いだけは忘れていた……つもりだった。
卒業という別れの時が近づくほど、「あなた」との距離が離れていくほど
忘れていたはずの愛しさを、次第に思い出す私に気づく。
あの頃の記憶が蘇る。
星空に守られ、眠りに誘われた「あなた」の安らかな寝顔を
月明かりのもと、眠れずにいた私は眺めていた。
その時の想いは、世界中の何より確かだったと。
世界中の誰より「あなた」に必要とされて生きて行きたかったから
「あなた」が私を必要としていないことに気づいたあの日
一人きり、誰よりも孤独を望んだ私を闇から連れ出してくれたのは
そしてまた……「あなた」だった。
でも私にはそんな「あなた」をまた望むことはできなかった。
失望さえして、軽蔑のまなざしさえ浮かべて
憎しみに近い感情さえ抱いて「あなた」との距離を開いた。
違う誰かを愛し、その想いが通じあった時には
「あなた」への想いなど確かに何処にもなかった。
けれど卒業という別れを迎えてしまった今
もう二度と会えないかもしれない寂しさに気づいた今
私は自分の心にウソをついていたのだろうかと、悲しみにとらわれている。
ただあの頃にはもう戻れないし、戻るつもりも私にはなくて
「あなた」には必要としあえる人がすでにいる。
「あなた」とはもう会えないだろうし、正直、それが寂しくて仕方ないけど
これだけははっきりと言える。
私は今、心の底から「あなた」に出会えて良かったと思っている。
もう二度と「あなた」と出会わなければ良かったなんて思わない。
願わくば「あなた」のこれからの日々が幸せなものでありますように。
ありがとう。