だれかのみたゆめ 第4話



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投稿者: @ pppb86f.pppp.ap.so-net.or.jp on 98/3/05 11:47:38


第4話 「予感」


美佳は、留守電のメッセージを聞いてみました。

「・・・オレだ。夜にまた電話するから、絶対家にいろよ」
...とだけ言ってすぐに切れていました。
「(あっ、お兄ちゃんだ...)」
電話は美佳の兄からでした。彼は風来坊のような男で、
ふらっと帰ってきてはまたどこかへ出かけてしまうのでした。
美佳は、嬉しくなりました。何か楽しいことがおきそうです。
そのうち、まどろんでいきました。

美佳は塔の中で数人の光たちに囲まれていました。
耳を塞いでうずくまって、彼女は泣いていました。
光たちが、口々に何かをのたまわります。

ピピピ...ピピピ......ピピピ...
電話の音で美佳は目を覚ましました。
どうやら、ソファーでうたたねしていたようです。
「もしも〜し」
「おー美佳っ、電話はすぐ出ろよ」
「ゴメンお兄ちゃん、ちょっと寝てたの」
「まったく...母さんが出かけてるからって...
 夜、寝られなくなっても知らねえぞ」
「で、どうかしたの?」
「そうそう!大事な話があんだよ。
 あのさぁ、この前美佳に預けた機械あるだろ。」
「...あの時計の事?」
「バカ、ありゃ単なる時計じゃない。ま、いいや...
 それよか、アレをある場所に届けてくれないか。」
「届ける?」
「ああ。元々アレは俺ンじゃないからな。
 事情があって、元の人に返さなきゃいけない。」
「へぇ、誰に?」
「ある貸しビデオ屋の店長に渡して欲しい。
 場所は、俺の机の引き出しに入ってる地図を見ろ。」
「いつまでに?」
「今すぐだ」
「えっ!?」
「...と言いたいところだが、今日はもう遅いな。危ないか。
 仕方ない、明日朝イチで出かけてくれ・・・頼む」
「えーーーー・・・」
「せっかくの連休をつぶして悪いが、凄ぇ大事な事なんだよ。
 ...あんまり長電話はできないから、もう切るぞ」
「えー、アタシやだよぅ、ママに頼んでよー」
「バカ、母さんは来月まで研究所だろーが。
 あと、この話は誰にも内緒だからな...約束だぞ。」
「ち、ちょっとぉ」
「ま、今度何でも買ってやるからさ、頼んだぞ。
 ...あっヤベッ、それじゃ。」
プツッ...ツー...ツー...
電話は切れてしまいました。

「うあー、せっかくの連休がぁ・・・
 こうなったら、今度たくさん欲しい物買ってもらわなきゃ」


つづく



第5話「おでかけ」は6日にUPされる予定です