ある日



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投稿者: くらいん @ ppp118.fukui.nsknet.or.jp on 98/2/26 23:22:33

In Reply to: 「第8回メッセージ文コンクール」

posted by 高山 比呂 @ ppp-y065.peanet.ne.jp on 98/2/26 07:07:10

指先が震えだした。
 続いて足、更に頭まで震えに犯された。
もう後はない、自分の中にある”なにか”を引きださねばこの状況から逃げ出すことは
出来ないだろう。
「早くしろ!」心が叫ぶ、だがその焦りが更なる震えを生み出す。全身には、もはや感覚らしいものが残っておらず。汗が吹き出るようにで、動悸が高くなり、一瞬にして闇に 放り込まれた様な感覚に迫られる。
と・・・・・、矢の様な視線を感じた。
理由はすぐ理解できた”それ”がこちらを見ていたのだ。
”それ”は俺を睨め付ける訳でもなく、ましてや嘲笑う訳でもなく、ただ静かに俺を見つめていた。
俺は笑みを浮かべようとした。その行為に何か意味がある訳ではない、だが実際はただ顔が引きつっただけだった。
”最悪の結果”それだけは避けねばならない。「ならどうする?」あせりで思考が埋め尽くされる。
どうする!どうするんだ!俺は思考がパニックの寸前まで来ているのに気づいた。
その中、パッと答えが浮かんだ、ごく単純なことだがそれであって決意がいること、
もう時間が無い俺にとってのたった一つの答え、もうそれにたよるしかなかった。
俺は”それ”の視線を避けるように後ろを向き、絞り出す様にこう叫んだ。

「店長!カレーパンいくらでしたっけ!」

「120円・・・・・」


                          END