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 投稿者:
ITASAN  @ kobekeeper.mhi.co.jp on 98/1/29 17:59:32
 
In Reply to: 「第7回メッセージ文コンクール」 posted by 高山 比呂  @ ppp-y077.peanet.ne.jp on 98/1/29 07:02:16
 
「あのう、この電車、月が丘には止まりますか?」
 声をかけてきたのは、マフラーをした女学生。
 僕は見たとたんに、自分の母校の生徒だと分かった。
 ちょうど受験のシーズン、この娘もこの路線に乗る
 のは初めてなんだろう。ちょっと緊張ぎみなのが、
 初々しい感じ。
 
 「止まりますよ。あそこは、ここらじゃ大きい駅
 だから、特急も急行も止まりますよ。」
 
 僕は、窓から寒々しい街の景色を眺めるのに飽きて
 きていたので、ちょっと彼女に話し相手になっても
 らうことにした。
 
 「その制服、二中の制服だよね。僕もあそこの
 卒業生なんだよ」
 
 そう言うと、彼女はちょっとテレてうつむきながら、
 
 「ハイ、知ってます。結構、有名でしたよ」
 
 彼女がそう言ったとき、電車が次の駅に着いた。人
 波に押されて、ホームにどっと吐き出される。
 
 「オーイ、こっちこっち!」
 
 元気な声が、隣の車両の方から聞こえる。
 
 「あ、友人です。それじゃ、また。せんぱい」
 
 一陣の風が吹き去ったようだった。その彼女の後ろ
 姿は、思い出の中の誰かに似ていた。
 
 
 
  
 
 
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