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@ ppp-y099.peanet.ne.jp on 98/1/28 17:54:22
In Reply to: 次ページにて「第7回メッセージ文コンクール」
posted by 高山 比呂 @ ppp-y099.peanet.ne.jp on 98/1/28 17:36:35
・第一章・
とても悔しい思いをした。
空に振りかざした両腕を、叫びながら机に叩き付けたかった。
とても悔しい思いをした。
拳が割れるほどの勢いで、壁を殴りたかった。
とても悔しい思いをした。
奴を動けなるまで殴り続けたかった。
でも、殴った後の虚無感、むなしさ、かなしみ、あわれみ、そんなのを感じることの方が、もっと嫌だったから、できなかった。
どれもできなかった。
月の沈む夜、そのことが頭によぎった。
とてもとても悔しい思いをした。
僕は、右拳で思いっきり自分の右太股を殴った。
でも、青の拳以外、何も変わらなかった。
僕は、右腕を要らないと思った。
赤に支配された世界。
すぐに黒に変わる不安定な世界。
そんな世界の下、僕は自転車に乗っていた。
車が僕の邪魔をする。
右側通行の自転車が僕を邪魔する。
むこうを向いた人が僕を邪魔する。
こちらを向いた人が僕を邪魔する。
標識が僕を邪魔する。
信号が僕を邪魔する。
前輪のライトが僕を邪魔する。
風が僕を邪魔する。
黒が僕を邪魔する。
みんな僕を邪魔する。
なにひとつ僕の邪魔をしないものが無い。
みんな邪魔だ。
無くなってしまえばいい。
それとも僕が無くなろうか?
せめて、この右腕だけでも無くしたい。
交差点の余裕は、霧の向こうにある星空みたいに不確かなもので、誰も信用してない。誰も信用できない。そんな気持ちを抱かせる。
沖へ出ようか。
静寂に包まれた水のうねりを独り見つめてみる。
そこに、右腕の波紋を加えてみる。
なにかが変わった。
400万光年離れた星が消滅した時と同じ感覚に襲われる。
白の指は、柔らかく細くなるべきだと思った。
追い討ちをかけるように左腕も差し入れる。
「あなた、今日、なにしにきたの?」そう彼女に言われた時の感覚が襲う。
耐え切れずに左手を空に投げる。
右腕はゆっくりと、紙風船を上げる時のやさしい気持ちで抜き出した。
それが始まりだった。
童謡を忘れないように、この思い出も忘れることはない。
リズムに乗って右腕を動かす。
リズムに乗って右腕は動く。
お気に入りのTシャツを破いてみる。
左腕に力を入れて破いてみる。
ポルトガル語を覚えた少年は、信じることを忘れ、疑うことも忘れた。
僕の母国語では、疑うことしか思い出せない。
黄色いズボンの女の子は僕の方を向いて笑う。
僕の後ろにいた彼氏に手を振りながら笑う。
そんな科学を打ち破りたくて、右腕の嘆きを利用した。
もう一つの時計のありかを知りたくて僕は旅に出る。
銀杏並木を歩く時のようなすがすがしさで僕を歩く。
この右腕を、思い出を、全てを忘れたい。
自転車は家ではなく、海岸へと向かっていた。
泣き叫ぶ、泣き喚く、男の子がひとり森の中にいた。
僕の右腕はその子を助けに行こうとハンドルを切る。
けたたましい音と共に点滅する星を見つめる。
男の子はこおろぎの顔をして僕に近付いてきた。
耳に手を当てた時、彼の両親は亡くなっていた。
自転車は森の中へ飛び込んだ。
僕は左腕で彼の右手を握り、海岸を目指した。
靴を履かない彼は不器用な行進をする。
ぶかぶかの靴を履いた彼は用水路を進む目つきで僕を見る。
僕らはまだ、坂の向こうがどうなっているのかさえ知らなかった。
水が落ちてきた。
金の延べ棒で殺された時のような痛みが僕の右腕を襲う。
彼はにこやかな顔をして創作の世界へ迷い込む。
煮え湯の香りをかいだすずめばちの音で僕らを包んだ。
もう一度会えるのならば小麦色のTシャツを着ていよう。
最後の言葉。
最悪の言葉。
君を守ることもできなかった僕は自分を守ろうとしている。
彼もやっぱり守れないかもしれない。
翼を見て流れ星だと呟く。
願い事より、祈り事の色が強くなる。
落ち着きの無い虫たちはもういない。
そこに、いる。
公園にいた君のようなしぐさで僕を引き付ける。
彼の姿はなくなっていた。
水を吸い取った土はスポンジのように膨らんでいた。
海岸には彼を連れて行かねばならない。
そう思いたかった。
僕は彼を右腕で引き寄せた。
そこから見える景色は虹彩でしかなかった。
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作者の独り言:
すいません、何も思い付かなかったので、ついページ限定の作品を掲載してしまいました。俺もストーリーを知らない、なんだかわけのわからない作品ですが(笑)、これは実験的作品なので、そう思って読んでください。一応、続きもあるのですが、それではページの宣伝みたいになっちゃうので、アドレスは公開しないでおきます。もし興味がある方は、ご連絡ください。
って、これじゃ作品を公開するためのものみたいになっちゃってますね(笑)。あくまでこれは例であって、作品紹介ではないのにな〜(爆)。
みなさま、本当にすいませんm(__)m
これに懲りずに、次ページからの「第7回メッセージ文コンクール」に参加してくださいね♪
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