土星 第25話 その3



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投稿者: Qちゃん @ webgate.yamato.ibm.co.jp on 98/1/23 11:03:57

In Reply to: リレー小説土星 第25話 予告

posted by Qちゃん @ webgate.yamato.ibm.co.jp on 98/1/23 10:51:47

どうせ嘘を付いても仕方がない、と覚悟を決めたマサキは、
ゼロドームの管理局でほぼ、本当のことを説明した。
「・・誰かはわかりませんが、別の宇宙船に襲われたので、
 僕らを脱出させるために船員の人がこの船に乗せてくれたんです。」

撃てれても死なないコキアやさらわれたヨーコのことなど、
必要のないと思われることは全く説明はしなかった。
アリスがいるというだけでも、充分面倒なことになっているのに、
これ以上、ここで余計な時間をかけたくはなかった。
それにマサキはヨーコのことを考えると、いますぐにでもここを飛び出したくなりそうな
気持ちを押さえなくてはならなかった。

「あなた方がリンギーに無断で乗り込んだことはこの際は追求はしないでおきます。」

応対していた係官は事務的に説明した。

「確かにあなたの説明の通り、リンギーは何者かに襲われ現在は連絡が取れない
 状況になっています。ここでは式典後のすぐの事件のため大変な話題になっています。
 しかし、生存者がいたとはいえ、あなたがたは本来リンギーの中にいない民間人であるため、
 あなた方に関する報道はまったくされていません。」

これはマサキにとっては幸運であった。確かに彼らは密航者のようなものだったため、
今回の事件には全く関与はしていないハズなのである。

「だから今回はこのままお帰りいただいても結構です。
 ただし、この事件に関して、他の方にお話することを禁じます。
 わかっているとは思いますが、そんな事をすれば、あなた方は報道のための
 おもちゃにされてしまうのが関の山ですからね。」


それから幾つかの注意などの説明を受けはしたが、拍子抜けするくらい
あっけなくマサキとアリスはそこから開放された。