土星 第25話 その1



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投稿者: Qちゃん @ webgate.yamato.ibm.co.jp on 98/1/23 10:53:44

In Reply to: リレー小説土星 第25話 予告

posted by Qちゃん @ webgate.yamato.ibm.co.jp on 98/1/23 10:51:47

「冗談は止めてよ、ベネット。」

一瞬驚いたマサキであったが、その声に聞き覚えがあることに気が付いて、
少し安心した。辺りをよく見てみれば、そこは見慣れたベネットの部屋であった。
ベッドのすぐ側の本棚には読みふるされた(かといってそれらは粗末に扱われておらず、
大事に保管されているのだが)本がならび、さらにベッドの反対側の壁には彼女の愛用の
ネットワーク端末が起動していて、相変わらず何かの情報を探しているようである。
・・・何の情報を集めているんだろう・・・
そんな事を漠然と考えていたマサキに向かってベネットと呼ばれた老婆は、その外見に
ふさわしくない、張りのある落ち着いた声で悪態を放った。

「あらっ、やっぱりわかった?もう、ばれちゃうなんて、つまらないなぁ。
 せっかくメークに時間を掛けたのに、これじゃぁ割に合わないわね。」

言葉とは裏腹に彼女の薄いブラウンの瞳は楽しそうに輝いて見えた。

「ずっと黙っていたら、わからなかったかもね。」
「ふん、まぁいいわ。ちょっと前ならすぐに引っかかったのに、しゃぁない、メークを落としてこようっと。」

そういいながら、ベネットと呼ばれた老婆は背中をピンと伸ばして部屋から出ていこうとした。
マサキはその背中に向かって一言つぶやいた。あとで後悔することになるが・・・・

「いいかげん、いい歳なんだから落ち着いたら?」