詩 『もしもピアノが弾けたなら』(便乗ごめん)



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投稿者: 柏木耕一(旧・日光) @ p03-dn01kuki.saitama.ocn.ne.jp on 97/10/24 17:30:05

 もしもピアノが弾けたなら
 僕には 月光が似合ったでしょう
 もしもピアノが弾けたなら
 僕には 赤いドレスの女が似合ったでしょう
 もしもピアノが弾けたなら
 鍵盤の上で踊る 幼い黒猫を見たでしょう

 もしもピアノが弾けたなら
 僕は僕ではなかったでしょう
 踊る指 流れる旋律
 全ては僕のものではなくて

 透き通る 降り注ぐ
 そんな悪意も
 もしもピアノが弾けたなら
 僕にはまったく関係なくて

 霧に濡れるこの街頭も
 こそげ落ちたこの指も
 針で潰されたこの瞳も
 もしもピアノが弾けたなら
 全然価値が 違っていたでしょう

 だから
 もしもピアノが弾けたなら
 僕は今頃 こんなところにいないでしょう