ちょっちお食事中の方にはアレなエッセイ



[ このメッセージへの返事 ] [ 返事を書く ] [ home.html ]



投稿者: 柏木耕一(旧・日光) @ p26-dn01kuki.saitama.ocn.ne.jp on 97/10/11 15:52:12

 その日、僕はいつも通り街を徘徊し、いつも通りゲーセンへ行き、いつも通りそこで友人と出会い、いつも通り遊んでいた。
 しっかーし! ぷよぷよなんぞを呑気にプレイする僕の腹を、突然謎の大激痛が襲ったのである!!
「どした? 柏木。顔色悪いぞ」
 そう言って笑う(何故笑うのだ)友人に「いやぁー大丈夫大丈夫。ちょっと腹痛いだけだよ」と答え、ぷよぷよ再開。
 ところがどっこい、ちっとも大丈夫ではなかった。最初のうちは腹が痛いだけだったのだが、終いには謎の吐き気まで襲ってきやがったのである。

 上も下も大ピンチ。


 特に腹痛は耐え難いものになりつつあった。「ベン……ベン……ベン」とゆったりした調子で平家物語を奏でていた琵琶法師も、突然気が狂ったかのように「ベンベンベンベンベンベンベン便便便!!」と琵琶をかき鳴らし始めたのである。
(やばい……)
 僕は思った。

 このままだと、平氏軍が「コンニチワー!」しちゃいそうである。


 僕は友人に「ちょっとトイレ行ってくるわ」と伝え、足早にトイレに向かった。
 しかし真の試練は、ここからだったのである。
 とりあえず個室に入り、ズボンを(以下検閲により削除)る。一連の作業は終わった。覚悟完了、どこからでもかかってきたまえ平氏の腰抜けどもっ、という気分である。

 その途端、平氏の猛攻が始まった。


 本来ならば源氏の技である「ひよどり越え」をかまされたかのような、見事な急降下である。ある意味天晴れであった。
 しかし平氏の軍勢は次第にその数を減らし、これで一安心と思ったら、今度は上がやばくなった。幸い僕は「1・2の3」で吐けるという特技を持っているため、これを実行しようとする。
 しかし。

 朝食ったうどんが喉につまっていた。


 大ピーンチ! 胸のあたりでは選挙宣伝カーが「あと一歩! ゲロ、あと一歩でございます!!」と絶叫しているのに、突如現れた共産党の若者が暴挙を起こしたのである。僕は何とか宣伝カーを追い出してしまおうとしたのだが、この若者がなかなか頑固で道を開けようとしない。なんやかんやとやっているうちに、別の人間が隣の個室に入ったような気配がして、僕は余計に慌てた。今ここでゲポしてしまったら、その音を隣の人に聞かれてしまう。別にどうせ知らない奴なんだからいいじゃないかとも思ったが、やっぱり恥ずかしい。
 僕は何とか我慢を試みた。その瞬間、隣の人間の声が漏れ聞こえた。

「……ふ……ぬっ……!」
(うん?)
 何か違う。雰囲気というか気というか戦闘力が、みるみるうちに上昇していく。
 そしてそれは、突然爆発した。

「ふんぬぬぬぬぬっ!」



 僕は危うく大爆笑しそうになった。あまりに切羽つまっているのである。どうやらこの人も平氏軍が「コンニチワ!」しちゃいそうな状態で入ってきたらしい。しかし、僕とは戦闘力がけた外れだ。僕がフリーザなら、この人は孫悟空である。
(まっ、まずいっ!)
 僕はより一層慌てた。笑ったら滅茶苦茶失礼だ。だいたい今のこの、上から「コンニチワー!」状態で大笑いなんかしてみろ、「コンニチワー!」どころか「コンニチワコンニチワコンニチワコンニチワ三河屋でーっすお米届けに来ましたーぁ奥さんうへへへ」なぁんて状況に陥ること必至である。我慢だ、俺!
 隣人はその間も「ふぬぬっ」「くのののっ」「おおおっ」だのと呻き続けている。これはかなりやばい状況だ。フリーザ柏木、クリリンを爆殺しちゃって大ピンチ、の図である。僕はとりあえず、この場を去ることにした。いつまでもこの場にいると、三河屋が奥さんをうへへへへしちゃうこと確実だ。あまつさえあんなことやこんなことまで……。

 ああっ三河屋さんいけませんいけませんあの人が帰ってきますわ。


 とりあえず便所なら他にいくらでもある。ここはいかん。ここだけは駄目だ。ダメのダメダメだ。
 僕は共産党の若者と宣伝カーとの戦いに終止符を打つ決戦場を求めて、その場を立ち去ろうとした。
 しかし、タイミングが悪かった。フリーザは「おまえもあの地球人のように殺してやる!」と言ってしまったのである。個室から出た途端−−。

「ふんぬぬっ……」(訳:あの地球人だと……)

「ふぬっ、ぐぬぬっ……」(訳:クリリンのことか……)

「ふんぬーーーっ!!」(訳:クリリンのことかーーーっ!!)



 もう駄目、私限界です。

僕:「おぶぇええぇ〜(男ゲロ)」



 ある意味凄まじいトイレであった……。

 その後、僕は二度とゲーセンでトイレに入らないよう心がけている。

 −−終−−

 僕はタイトルで注意しています(笑)。
 あー、しかしいいなあ、こういうバカなの。気ヌキにぴったり。