[ このメッセージへの返事 ]
[ 返事を書く ]
[ home.html ]
投稿者:
高山 比呂 @ um2-28.tokyo.infoPepper.or.jp on 97/8/31 22:21:50
In Reply to: わーい、ありがとぉ!!
posted by はにぃ @ ppp-sb004.fsinet.or.jp on 97/8/31 16:35:08
> おめでとう!!
どうも、ありがとうございます。
> 毎月、てのが良いな。
> 上の通りで良くない?3部門、それぞれ1票ずつでひとり3票、と。
やっぱそうですよね。
> なに?ごめんなさい、私知らないので・・・
> 良かったら教えていただけませんか?
それじゃあ
連載小説「犬(dog)」第1、2、3回(再掲載)+第4回分少量
僕は歩いた
僕は走った
僕は疲れた
僕は食べた
僕は入った
僕は寝た
僕は見た
夢を見た
浮いていた
セーラー服を着て浮いていた
「ねえ、はやくかおりんに告白しちゃいなよ」
「なにいってんだよ」
何も拘束するもののない教室、窓側の後ろから二番目の席で、上がっていく光を浴びながら、女子と男子がおしゃべりしてた
「好きなんでしょ、かおりんのこと」
「ま、まあ、そりゃ好きだけどさ、俺、そんなこと言える度胸ないよ」
「もう、それじゃあ、私が渡してあげるから、手紙書きなよ、それならできるでしょ」
「わかったよ、じゃあ今日、家で書いてくるから、明日渡してよ」
「うん、でも明日忘れたら、自分で直接言ってよね」
「忘れねえよ」
―おまえ、やめといた方がいいって、俺も同じことしてフラれたから………ま、でも人は人か、黙って続きを見てみよう―
二番目の引き出しが、開いたままの学習机に向かう、パジャマの少年
「ああ、ついに明日告白か。こんな時のために、今まで書き留めておいた、自己紹介文と出会ってからの思い出文が5枚、それに今日書き加えた、俺の愛の叫びと自作の詩が5枚、合計10枚にも渡る、俺の想いが伝わるんだな、江藤さん、いや、かおりに。でも、もしOKだったら、初デートは何処がいいかな。やっぱり映画かな、それとも動物園かな、ま、2人で行けば、何処でも楽しいか」
少年の月はまだ大きい
窓側の後ろから二番目の席に、女子が座っていた
「おはよう」
制服の男子が、声をかけ、隣に座る
「あ、おはよう」
「忘れずに持ってきたぞ」
「え、何を」
「何をっておまえ、おまえが今日持ってくれば渡してくれるって言ったんだろ」
少年は、ポケットからストローと、タバコのボックスと見間違えるほど厚みのある、折り込まれたレポート用紙を取り出し、前者はポケットに押し込んで、後者を女子に見せた
「ほら、手紙」
「あ、そう持ってきたんだ。じゃ渡しておくから貸して」
「あ、お願いします」
賞状を渡すときと同じように、両手を手紙に添えて差し出す男子、左手で受け取る女子
「何あらたまってんのよ、でもこの厚みは何。何枚あるの」
女子の驚きを見て、自分の過剰さが恥ずかしくなり、口ごもりながら男子
「一応10枚」
「10枚。10枚って、何書いたらそんなになるの」
「いいだろ、何でも」
「見てもいい?」
「ダメ、絶対ダメだかんな、そのまま渡せよ」
「はいはい、わかりました。じゃあ部活で会った時に、渡しておくから」
「お、お願いします」
「またあー、何で急に敬語になるの」
「お願い事する時は、いくら気の置けない奴でも、丁重にいくのが礼儀ってもんだろ」
「なにが礼儀よ、田舎侍のくせして」
「何だと、おまえなんか、都会から島流しでここに来たんだろ、それよりはましだよ」
「島流しじゃないよー、父さんが、ここに家買ったから引っ越してきただけー、あんたなんか、この島の生まれじゃない、そんな奴よりはましよ」
「へーん、残念でした。ここは島じゃないですー、周りは山と田んぼに囲まれてますー」
「あんたが島だって言ったんじゃない」
「俺のはたとえ、おまえのは本気、陸つづきのここを、島だなんていってる奴と、一緒にされたかないね」
「なによ、ここ陸の孤島じゃない。それに、ピーナッツしかないじゃない」
「おまえ、バカにしたな、原住民怒らすと恐いよ、家の中、落花生の殻で埋め尽くされるよ」
「なにそれ、バッカじゃない」
「ああ俺はバカさ、バカで結構。カバよりはましだから」
「私がカバだっていうの」
「そりゃそうだろ、いっつも授業中でっかい口開けてるもん」
「もー、そんな事ばっか言ってると、手紙渡してあげないよ」
「え、すみません、お嬢さま、ワタクシが悪うございました」
「わかればいいのじゃ、わかれば。爺、肩がこったのー」
突然足を机の上にのせて、偉そうな態度を取る女子
「爺?俺のこと?おまえ、調子に乗んなよ」
「手紙はよいのか?」
“タバコのボックス”を男子の眼前につきつける女子
「は、お嬢さま、この爺、喜んで肩をもまさせていただきます」
男子は立ち上がると女子の後ろの席の机に腰掛けて、肩をきつくもみ始めた
「よかよか、うむ、もう少し肩甲骨の近くをたのむぞ」
「はいはい」
「返事は一回でよいのだぞ」
「はあーいー、ばあーぶー、ちゃあーん」
「何?イクラちゃん?じゃ私たい子さん?」
―もーいいよ、こいつらの漫才は、次いこ次―
音楽室の片隅で、コントラバスの練習をする女の子。夕日を浴びて、赤く染まるはずの彼女が、なぜか青白く輝いた。
(あ、あれ?さっきまで僕、浮いていたよな、なんでこんなところにいるの?あ、なんか体が女になってる。それにこのどデカいバイオリンは何?僕の体が縮んでるの?……でも、ここは何処なんだろう。なんで女になってんだろう。なんでこんなもの持ってんだろう。ねえ、誰か教えて)
―普通ならば「ここは夢の中だ」と自分に言いきかせる。しかし、夢の中で夢を自覚することは難しい。しかも、この男のように冷静に状況を考えることは、ほぼ不可能と言える。つまり、この男は確かに起きているのだ。そして自分が起きているということを瞬間的に肌で感じたのだ。―
「かおりん」
窓側の後ろから2番目の女子が、女の子に話しかけてきた。けれども女の子は反応せずに、心の中でこの状況の推測をしていた。
(あ、そういえばこのあいだ、こんなのテレビで見たな。えっと、幽体離脱して、異世界の別の人間に“転神”したっていう男の話。なんか、その人の話に似てるんだよな。僕も、この女の子に転神したってことかな?)
―“転神”聞きなれない言葉だ。だが、この男の話しから考えると、こちらの世界で言う“降臨”という言葉とほぼ同じだと思える。また、この文字から考えると、精“神”が“転”ずると言う意味だとも思える。―
「かおりんってば」
そう言って女子は、女の子の左肩をポンとたたいた。
「え、何?」
女の子は、不思議そうに振り向いた。
(僕のことか?僕の体の、この女の子は『かおりん』と呼ばれているのか?ということは、やっぱり僕は転神したって事か。あの人の言ってたことは嘘じゃなかったんだ。よし、僕もこの世界を十分に楽しんで有名人になっちゃおう)
「ねぇ、ちゃんと聞いてる?」
かおりんが推測してる間に、女子の話は進んでいた
「あ、ごめん。よく聞いてなかった」
(この女子の話は、情報源になりそうだからしっかり聞いておこう)
「もー、しょうがないわね」
学生カバンの奥から“タバコのボックス”を取り出す女子
「何、これ」
「さっき言ったじゃない、あいつから手紙、預かったって」
「あいつって?」
「ほら、いつも話してるじゃない。かおりんが去年1年8組の時に、クラスメイトだったあいつの事」
「ああ、あいつね」
(誰だかわかんないけど、一応話合わせとこう。ま、たぶん『かおりん』の女友達のことだろう)
「そ。それでね、あいつがあんたのこと好きなんだって。これ、ラブレターらしいんだ」
「え」
(え、ラブレターってことは、あいつって女の子じゃないの?)
唖然とするかおりんの手に、おばあちゃんが親に内緒でこづかいを手渡す時のように、その手を包み込み、手紙を握らせる女子
「じゃ、渡したからね」
「で、でも、こんなものもらっても困るよ」
(僕は『かおりん』という女じゃなくて、『田山広海』という男なんだから)
「それならあいつに、はっきり言ってやればいいじゃない。“あんたのこと嫌いだから、こんな手紙もらっても迷惑なのよ”って」
「いや、そうじゃなくて、好きだとか嫌いだとか、僕にはわからないんだ」
(だって、相手の男のこと全然わからないもの)
「僕?なに珍しい言葉使ってんの。さては、うれしすぎて舞い上がってんでしょ」
「そ、そんなんじゃないよ」
(うれしいわけないじゃない、僕ホモじゃないんだから)
「また、あわてちゃって。もしかして、かおりんもあいつのこと好きだったの?」
「だから、本当に違うんだって」
(僕は『かおりん』のことなんかわからないよ)
「はいはい、わかりました。……あんた達、青春って感じだねー」
「もー」
(ほんっとうに、もー)
「それじゃあ私は、お役目も終えたので帰らせていただきます。ダーリンからのお手紙は、お家に帰ってから読みなよ。“絶対他の奴に見せるなよ”ってダーリンが言ってたから。わかった?」
「う、うん」
(え、いま家って言ったよな。『かおりん』の家って何処にあるんだろう?)
学生カバンを閉める女子
「それじゃあ、また明日」
右手を上げて、その場を立ち去ろうとした女子
(そうだ、この女子に『かおりん』の家の場所聞こう)
「ちょ、ちょと待って」
「何?」
振り返って、右手を机の上に置く女子
「ぼ、私の家って何処にあるんだっけ?」
「何言ってるの?いくらうれしいからって、家がわからなくなる位舞い上がることないでしょ」
(またそれか…。それなら)
「い、いやそういうことじゃなくて、一緒に帰ろうって意味なんだけど…」
「一緒に帰るって言っても、私とかおりんの家まったく正反対じゃない」
「そ、そうだったね」
(ちくしょう、作戦失敗か)
「そんなにうれしいなら、早速ダーリンとお手手つないで帰れば。あいつ、まだ写真部の部室にいると思うから。それじゃあ」
今度は右手も左手も上げず、その場を早足で立ち去ってしまった女子。音楽室の片隅に、一人きりで不器用にコントラバスを持っているかおりん
(次から次へと、どうなってるんだ。男からのラブレター、『かおりん』の家、どうしたらいいんだろう。……とりあえず、家に帰ることを考えよう。じゃあどうやって帰る?このままここにいれば『かおりん』の親が迎えにきてくれるかもしれない。だけど問題を起こすのはまずい。『かおりん』がいつもと違うことがすぐにわかってしまう。それに、知らない人に怒られるのも嫌だ。だったらどうする?……そういえば「泥酔者が意識のないまま家に帰れるのは、自律神経のおかげだ」って生物の岡田先生が言ってたな。ってことは、『かおりん』の意識がこの体の中に残ってるとしたら家に帰ってくれるってことか。でも、未成年の女の子が酒を飲むのはまずいよな。その他の手段で意識を無くすためには、…何も考えないって手もあるけど、人間何にも考えないことは無理だって言うから、…別のことを考えればいいのか。家に帰るって事以外を。でも何を考えよう?…いや、ただ考えてるだけじゃだめだ。すぐに家の事が気になってしまう。…そうだ!さっき貰ったラブレターを読んで帰ろう。ものを読んでる間ならば、家の事なんか考えないだろうし、こんだけ厚みがあるんだから、家に着くまでの間読みつづける事ができるだろう。本来こういうの読むのはよくないけど非常事態だからしょうがないよな。これ書いた人ごめん。僕、読んじゃいます)
かおりんはその手に持ったコントラバスをケースにいれ、近くにあったミッキーマウスのキーホルダーのついた学生カバンを持ち、音楽室を出た
(あ、そういえばさっき、男と帰れとか女子言ってたよな。その方が楽かな?でも一緒に帰るって事は付き合うのOKって事になるから『かおりん』の了解取らなきゃまずいよな。それに一緒に帰る途中、男にキスとかされたら気持ち悪いからな。やっぱ一人で帰るか。…それにしても『かおりん』って「かおり」っていう名前のあだ名だよな。もし留学生かなんかで『香林』なんていう名前だったらどうしよう。ラブレター読み終わって気づいてみたら背中から“ニーハオ”なんて言われて、北京郊外の精肉店の前かなんかにいたらどうしよう。でも、これは僕の世界の事だからこの世界には中国なんてないのかな?でも異世界に来たと思い込んでるだけで、ただ同じ世界の別人になってたってこともあるだろうしな。だって日本語使ってるしな…うーん、なんかこういうのも嫌なんだけど)
かおりんは音楽室のドアの向かい側にある柱に寄り掛かって学生カバンをあさりだした。まず最初に“キティちゃん”のきんちゃく袋に入った弁当箱を取り出した
(なんだ?このひげの生えた白ブタは。どういう趣味してるんだろう?それに、このねずみのキーホルダーといい、なんか動物愛護協会の会員なのかな?)
一番上ででかい顔していた“白ブタ”を床に置いて、次にノートを取り出した
(うあーやばいな『かおりん』字がすごいうまいよ。それにこの漢字のうまさは半端じゃないな。やっぱ中国人だよ)
核心に迫るために学生手帳を取り出した
(えーと、名前は…。あーよかった『江藤かおり』中国人じゃないや日本人だ。それで、ここは千葉県八街市って所か、やっぱり異世界だ、こんな地名知らないもの。八街中学校2年1組3番……僕の3っつ下か)
かおりんは学生カバンを整理すると下駄箱に向かった。運が良い事に下駄箱は音楽室の隣にあったので、探す手間が省けた。そして手帳に書いてあった番号の所にあった黒い革靴をはいた。そして手紙を開いた。
【Dear江藤かおり様】
(うあー“Dear”だって“Dear”。“親愛なるもの”だよ)
【こんにちは。いや、こんばんはかな?それともおはようかな?ま、そんなことはさておき】
(どんな文だよ)
【突然の手紙驚かれたとは思いますが】
(そりゃそうだろ、異世界の男に手紙もらったんだもん)
【僕は君の事が好きだ】
(もう、それ言うんだ)
【だからこないだ体育館でやったコンサートのとき、隣にいた君の手を握ろうとしてたんだ】
(そんなことやっちゃだめでしょ)
……そうこうしているうちにかおりんは校門を出ていた。“窓側の後ろから2番目の”女子とは反対方向に向かって歩いていた。今のところ作戦は成功しているように思える。
「市民グラウンド」という名を持つ、篠塚も来た野球場の横にある路地を抜けたときにはちょうど4枚目を読み始めたところだった。
【ってね。僕らもそんな風になれるといいね】
(何かこの人の文、もう付き合ってる気になってるな)
床屋の前の踏み切りを横断したときには、6枚目に入っていた。
【僕は自分のことを呼ぶときに、普段しゃべってるときは“俺”を、頭の中で考えてるときは“僕”を、文章を書くときは“私”を使ってるんだ。知ってた?】
(知らないよ。…もーどうでもいい話ばっかりよくこんなに書けたな。こんなラブレターもらっても『かおりん』喜ばなかっただろうな)
サッシ屋の看板のところを右に折れときには、もう2枚しか残っていなかった。
【じゃあ君のために書いた詩を読んで下さい】
(うあー男のくせに詩だって)
【告白】
(そのままだ)
【君のことが好きだ
僕のことより好きだ
どのくらいI LOVE YOU?】
(なぜいきなり英語?)
【ムツゴロウさんの動物に対する気持ちと同じくらい、いやそれ以上に好きだ
でも、ムツゴロウさんだとうそ臭いから
遠い空の神話さえ信じられぬほど好きだ】
(どういう意味?)
【僕が君に恋をした夜
気づかずに眠ったんだろう
星に願いをピノキオさん
どこへ向かうの流れ星
僕と君のように
好きですか
好きですよ
その一言が聞きたくて】
(なんだコリャやばいよ)
【どうも下手な文ですいません。でもこれが僕の気持ちですわかってくれました?】
(どうやってわかればいいの?)
青い屋根の家の前を通り過ぎたときには、最後の2行になっていた
【さい。もしOKならば今度の日曜日にでもどっか行きませんか?映画とか動物園とかともかくどっか行きましょう。それじゃあ、また。SeeYa!】
(はー、やっと読み終わった。それにしてもこの男すごいな。よくこんなにどうでもいい事を書けるものだ。)
かおりんは白い壁に黒い屋根の家の前でちょうど読み終えた。そこには「ETO」というアルファベットが貼られた表札がかかっていた。
―MISSION COMPLETE―
(やった。ここがかおりんの家か。うちらの世界と同じだな。)
かおりんは手紙を左手で制服の左ポケットにしまい、右手でドアを開けた。カバンは足元だ。
「ただいま」
(あ、やべ異世界だった。あいさつとか違うのか?)
「おかえり」
(ふーよかった同じか。あ、そうだ。かおりんの部屋って何処なんだ。母親に聞くわけにもいかないし。…まあ全部屋まわってみればいいか)
かおりんは「おかえり」の部屋へ入った。
「かおり、今日は早かったわね」
(この女性は『かおりん』の母親だな)
「あ、うん。ちょっと部活が早く終わったから」
(こう言えば心配しないよな)
「そう」
(ほらね)
「あ、この洗濯物上持ってきなさい」
(上?上ってことは『かおりん』の部屋は二階にあるのか。…ありがとう、ママ)
かおりんは学生カバンを賞状を受け取ったときのように持ち、その上に洗濯物をのせ、階段を上がった。二階には3つのドアがあった。そのうちの1つは一目見ただけでトイレとわかるものであった。残るドアは引き戸式とノブ式の2つだ。
(どっちだろう。でも自分の家なんだからどの部屋開けても大丈夫だよね)
かおりんは左手だけで“賞状”を持ち、近い距離にある引き戸式の方を右手で開けた。
「なんだよ、姉ちゃん」
その部屋には、ぶ厚いけどサイズの小さい漫画雑誌を読む男の子がいた。
「あ、いや別に用はないけど」
(まずいなミスったよ)
「じゃあ、出てってよ」
「はいはい」
(やっぱ女で引き戸はないよな)
かおりんはドアノブ式の部屋に入った。
(あーなんか女の子の部屋の匂いがする)
“賞状”を学習机の上に置き、それに付随している椅子に座った。
(はー疲れた。あ、これは)
本立ての一番端に立っていたアルバムを抜き出し、開いた。たくさんの写真。それぞれの下に一緒に写っている人の名前が書いてあった。
(あ、これさっき私にラブレター渡した女子だ)
【天童とツーショット!!inディズニーランド】
(あの女の子の名前「天童」って言うんだ。『かおりん』の顔ってこんなのか…あ、この写真はさっきの母親と男の子が写ってる)
【お母さん、貴司とin熱海】
(お母さんって呼び方でいいんだ…。それであの男の子は「貴司」か。…うあこの女の子めちゃくちゃかわいい)
【裕子&天童とin吹奏楽コンクール】
(へー「裕子」さんか。でも、こんなかわいい子がお友達なんだ)
かおりんはそれを読み終わると、アルバムを元の場所に戻し、立ち上がりながらその3つ隣にあった保健体育の教科書を取って、ベッドに倒れこみ、それを読んだ。
「…ナプキン、か」
―“生理”男にとってこれほど謎なものはない。胸の膨らみのよりも、股間の膨らみが無いことよりもそのことを確認したい、その想いが本を開かせることにいたったのだ。―
「かおり、貴司、ごはんよ〜」
ふと気付くと空は黒いペンキで塗りつぶされていた。
(そういや異世界の食事ってどんなのだろう?まさか虫とかは食うわけ…あるかもしれない…)
というものです。わかりました?今回出品したSUN AND MOONに文法的に似ていますが、こちらのが先です。この仮主語の使い方は、生きた台詞にするための俺なりの手段なのです(といっても生きた台詞は書けてない)。また、“だった”文の連続は、細かい描写ができないので、スピード感でごまかそうとしたのです。もし、この作品が気にいってくれたら、次回を期待して下さい。それでは、また。SeeYa!
|