君の意志を受け取った。貴重な情報提供に感謝する。
何故そんなに早く届いたかって？
我々の科学力をみくびってもらっては困る。
君の手紙が我々に届く事は永久に無いだろうが、意志は瞬間的に受け取る事が出来るのだよ。
また、君が手紙を書いていた時の思考や記憶も、我々には全て伝わっている。
電子を発見してまだ１０００年にも満たない君たちの科学力では想像もつかないだろうが、光速が絶対的だという理論など、我々の星では１億年も前に覆されているのだ。
緑の大地、青い空、白い雲、成る程うまそうな星じゃあないか。
まさか第４９宇宙の銀河系の片隅に、こんな惑星があろうとはな。

ところで、’我々が地球に行った時、君達が愚かな生物だったとしても暖かく見守って欲しい’という事だが、これは少しむしが良すぎるというものではないか？
君達がフライドチキンを食べる時、慈悲をかけているとは思えないが・・・。

地球の生物達が進化に励んだり、宇宙競争の為の努力をしているというのは分かる。
これはどこの星へ行っても同じ事だ。
もちろん我々の星も例外では無い。フロンティアを勝ち取る為に、多くの宇宙戦争をも経験して来た。
近い内に地球にも我々の手が伸びる事になるだろう。
食われたくなければ、その為の手を打っておく事だ。
分かっているとは思うが、科学力で抵抗したところで意味は無い。
原始人が棍棒を持ったところで、銃を構えた兵士にかなうはずが無いであろう。
では、どうすれば良いか？
我々の戦意を喪失させるのが良いだろう。
我々に「共存したい」と思わせる様な、我々にも勝る、何かすばらしいものを手に入れておくのだ。
一つだけヒントを与えよう。
我々の星にも未だに裁判所というものがある。
人と人との価値観の違いによって発生する摩擦を減らす役目を担っている。
我々も人間である事に変わりはないのだ。
これ以上は自分達で考えたまえ。これさえも出来ない様ではもう救いようは無い。
健闘を祈る！

　Ｐ．Ｓ．青い空の美しさというのは本当の様だ。是非いつか、この目で拝見させて頂きたい。

• 解説 - ノック 97/7/30 21:00:49