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投稿者:
ITASAN @ kobekeeper.mhi.co.jp on 97/6/17 21:23:42
In Reply to: 「土星」第16回 まえがき
posted by ITASAN @ kobekeeper.mhi.co.jp on 97/6/17 21:22:01
「土星」 第16回 「凶悪な装備」(前編)
「これしかなかったんだ,我慢してくれよ」
男物のYシャツを素肌にまとったアリスは,マサキにとって,
凶悪なほど直視出来かねる存在に変貌していた.
「マサキ様,私こんなにボタンの多い服を着るの初めてです」
にっこりと,見上げる仕種に,つっと無意識に視線をそらした
マサキは,先ほどから壁際で無線機を使っているコキアを恨め
しそうに見た.
「..そうか,分かった.無線はもう危険だ.あとは,各個の
判断で.OVER」
振り向いたコキアからは,先ほどまでの冗談めかした態度は微
塵も感じられない.手早く装備をまとめると,マサキの方にな
にかを投げてよこした.
ブラスタ!!マサキは空中でそれを受け取り,握り直すと,セ
ーフティを確認してから,その重さを確かめるように,構えて
みた.
「使い方は分かるな?」
もちろん,土星のような環境で,一般市民が本物のブラスタを
持つ事が許されるはずもない.しかし,このマーベリック社製
のブラスタは,最近マサキが熱中している,NET対戦のガン
シューティングゲームのものに酷似していた.
ちらと,夕べの<ツー>からアクセスしてきた,対戦相手を思
い出す.
(あいつ,チキンプレイだったよな..)
「回数は5回,パックはないから,補充はきかない.」
コキアは考え込んだマサキに被せるように言うと,貨物庫の入
り口まで行き,辺りを探るようにしてから,振り返った.
「さて,あのじゃじゃ馬お嬢さんを助けに行きますか」
第16話後編へつづく
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