Re: ヤマトとゴジラと僕等の民主主義 という本



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投稿者: ベルクアイサル @ ppp54-tajimi.mmtr.or.jp on 97/11/24 19:44:37

In Reply to: ヤマトとゴジラと僕等の民主主義 という本

posted by ステテコパンツ @ cse-69.nagoya.mbn.or.jp on 97/11/23 23:13:05

 私はこの本を所有しています。初版発行は1992年7月となっています。
当時の私はオタク活動をストップしていたので、当時の特撮・アニメファンの反響は解りません。

 この本の中で扱われている作品は「ゴジラ(シリーズ)」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「宇宙戦艦ヤマト」
「風の谷のナウシカ」「アリオン」「沈黙の艦隊」「おもひでぽろぽろ」「東京ラブストーリー」「ゴースト/ニューヨークの幻」と、多岐に渡ります。

 「ゴジラ」「ウルトラマン」を扱った章は、作品の中から当時の日本が置かれた国際的なポジショニング、及び国内の気分を読みとるという意図で書かれています。
その他の作品については、作品中の矛盾や破綻を指摘した上で論理が矛盾した原因を作者のイデオロギーなどの内面に求め、作者がいかにして矛盾を身中に抱くに至ったかの原因を追求して行くといった内容となっています。
エヴァでメジャーになった、作品からクリエイターの思想・人格を計るという評論の走りであると思えます。

 筆者の意図は、作品中の論理の整合性を追求したり、青臭い理想の批判が目的ではないかと思われます。
この本で扱われた作品のほとんどは論理の破綻を理由に批判されており、読んでみれば批判もやむなしと思えるだけの説得力が有ります。理屈好きな人は楽しく読めると思います(私は結構楽しく読めた)
 クリエイターの主張は結構青臭いモノで、決して現実的な思考に基づいたモノではないということが解るような気がします。

 ただ、基本的に批判を目的としたような書ですので、上記の作品のファンは不愉快になる可能性が高いのでやめておいたほうが良いかも知れません。ある程度「冷めて」いないと辛い本です。