次のアタリショックの始まり方(近未来小説)



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投稿者: 憂ゲー団 @ wcs03.uz.ascii.co.jp on 98/1/09 01:13:01

それは前回とは少し違う始まり方であった。

アタリの時は市場が自爆ともいえる崩壊の仕方であった。
今回は「日本人のゲーム漬けからの卒業」という
深刻な事態からであった。

ゲームの内容も革新的な物は出にくい状況であったし
それ以前に、日本全体が戦後体験した事のないような
大不況、それに続くビッグバンで企業の倒産も続いており
「テレビゲーム」にまわす金がだんだん小額になりつつあった
のもあった。

しかし、テレビゲーム業界は「よい作品を出せば消費者といえど
かならず買うはず」といった従来からの固定観念(従来型の
マーケティング)にとらわれ、自らの市場を取り巻く状況の
劇的な変化に気付いてはいたが、認めようとはしなかった。

他の娯楽産業も状況は似たようなものであった。とにかく金が
落ちない。人が動かない。しかし決定的な解決策が見出せないでいた。

一方、次代のテレビゲーム市場を担うはずの「子供」が、テレビゲーム
から離れていたのも、間接的ながら崩壊の一翼を担っていた。

そして、それはゆっくりと、静かに始まった。(続く)