ペンは剣より強しといえども、ペンゆえの欠点もあります。
　
　それは、解釈の問題です。
　結論からいえば、誰が読んでも正確に真意を把握出来る文章を
　書くというのは、明確な事実に関する事についてすら極めて難しく、
　まして意見を述べるなどと言う場合、誤解の生じない可能性など
　万に一つもありません。
　だから我々がうまく対話するためには、理解しようとする誠意、
　理解してもらおうとする誠意が前提であり、一見何でもないような
　会話も実は、ほとんど奇跡のような出来事なのです。
　つまるところ、陳腐な表現ながら、対話とはキャッチボールであり　
　議論もまたしかりなのです。
　ところが議論においては相手を打ち負かそうとの意図が
　往々にして働いてしまい、キャッチボールではなく
　星飛雄馬と花形満のようになってしまい、遂には完全な誤解の
　袋小路にはまってしまいます。
　これは極めて皮肉といえます。ペンで勝負するときは、
　剣の時と違って、打ち負かそうとすると戦い自体がかみあわなくなり
　互いに異次元に飛んでってしまうわけです。
　
　「朝まで生テレビ」で、意義ある結論がでたことがありますか。
　あれもまた、互いを組み伏せようとする余り議論ではなく、
　華麗な、しかし不毛なるもつれ合いになってしまっています。
　でもあれは、あれでもいいのです。結論をだすのが必ずしも、
　番組の目的じゃあないんですから。

　しかしお二人は、ここでそんなことをするべきではないでしょう。
　タイトー三匹さんは、「こんなことをいう僕の真意について
　考えてください」と書いていました。
　あなたはそうすべきでしょう。
　タイトーさんもまた、そうすべきでしょう。
　
　長くなりましたが、どちらが悪い、間違っていたというより、
　二人の息があわず、失敗した、という評価が適当だと思います。
　
　議論は争いに見えて実は呼吸の一致を要する点で、
　漫才に近いかも知れません。