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無料トライアル・値引き・割引きの仕組み

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各社クラウドサービスの、無料トライアル、値引き、割引きの仕組みを解説します。 なお、この部分は変動が非常に激しいので、最終的には公式サイトをチェックするようにしてください。

無料トライアル・値引き・割引きのまとめ

まずはまとめから。

  • 初回無料系
    • AWS: 初回 12ヶ月一部機能無料 + いつでも一部機能無料
    • Azure: 初回 1ヶ月 20,500円クレジット + 12ヶ月一部機能無料 + いつでも一部機能無料 (2017年10月より)
    • GCP: 初回 12ヶ月 $300 クレジット + いつでも一部機能無料
  • 全体系
    • AWS: リセラー経由での契約
    • Azure: EA 契約
    • AWS・Azure・GCP: 営業努力
  • 自動割引系
    • GCP の Compute Engine、Cloud SQL: 継続利用割引
  • リザーブド系
    • AWS の EC2、RDS、ElastiCache、Redshift: リザーブドインスタンス
    • Azure の VM: Reserved Virtual Machine Instances
    • GCP の Compute Engine: 確約利用割引
  • スポット系
    • AWS の EC2: スポットインスタンス
    • GCP の Compute Engine: プリエンプティブ VM インスタンス
    • Azure Batch: 低優先度 VM
  • 開発者・ベンチャー系
    • Azure: BizSpark で最大 $9,000 分を 1年間無料
    • Azure: BizSpark Plus で最大 $120,000 分を 2年間無料
  • その他
    • Azure VM の Windows Server: ソフトウェア アシュアランス付きの Windows Server を持っている場合、Azure Hybrid Benefit という仕組みを使って、Azure VM の Windows Server を Linux 相当の金額で利用可能

初回無料系

  • AWS: 初回 12ヶ月一部機能無料 + いつでも一部機能無料
  • Azure: 初回 1ヶ月 20,500円クレジット + 12ヶ月一部機能無料 + いつでも一部機能無料 (2017年10月より)
  • GCP: 初回 12ヶ月 $300 クレジット + いつでも一部機能無料

AWS・Azure いずれも、アカウント作成から 12ヶ月間、EC2・VM などの一部機能が無料です。 その一部機能とは何かを下記表にまとめました。 記載したのは主要なもののみで、それぞれリクエスト回数などの更に細かい条件がありますが、 ここでは割愛しました。

下記以外の機能からはみでた分については、AWS の場合 12ヶ月以内であっても普通に請求されます。 Azure はアカウント作成から 1ヶ月間のみ使用できる 20,500円のクレジットでまかなえますが、 それを超えた分は請求されます。 GCP の場合、12ヶ月間無料という機能はなく、12ヶ月間使える $300 のクレジット内であれば無料、 それを超えると有料となります。

さらに、AWS・Azure・GCP いずれも、無期限の無料枠があります。 こちらも下記表に記載しています。

下記表に「750時間」「30GB」などとあるのは、特に記載のない限り月間の使用量です。 1ヶ月は最大でも 744時間ですので、750時間というのは 1インスタンスなら丸々1ヶ月無料、 2インスタンスなら半月で 750時間を使い切ることになります。

- AWS Azure GCP
コンピューティング (12ヶ月) EC2 Linux t2.micro 750時間分
EC2 Windows Server t2.micro 750時間分
VM Windows Server B1S 750時間分
VM Linux B1S 750時間分
12ヶ月 $300 クレジット
コンピューティング (無期限) Lambda 100万回 Azure App Service アプリ 10個
Azure Functions 100万回
Compute Engine f1-micro 1個
App Engine 28時間/日
Cloud Functions 200万回
ディスク (12ヶ月) EBS 30GB Managed Disk 128 GB 12ヶ月 $300 クレジット
ディスク (無期限) Compute Engine の HDD 30GB
ストレージ (12ヶ月) S3 5GB
EFS 5GB
Blob Storage 5GB
File Storage 5GB
12ヶ月 $300 クレジット
ストレージ (無期限) Cloud Storage 5GB
Cloud Datastore 1GB
RDBMS (12ヶ月) RDS db.t2.micro 750時間分 SQL Database S0 250GB 12ヶ月 $300 クレジット
RDBMS (無期限)
その他DB (12ヶ月) Cosmos DB 5GB 12ヶ月 $300 クレジット
その他DB (無期限) DynamoDB 25GB BigQuery 1TB
キャッシュ (12ヶ月) ElastiCache cache.t2micro 12ヶ月 $300 クレジット
キャッシュ (無期限)
ネットワーク (12ヶ月) CLB または ALB 750 時間分
CloudFront 50GB
12ヶ月 $300 クレジット
ネットワーク (無期限) Load Balancer パブリック IP 負荷分散
データ転送 (12ヶ月) 15 GB 15 GB 12ヶ月 $300 クレジット
データ転送 (無期限) 5GB
その他 (12ヶ月) 12ヶ月 $300 クレジット
その他 (無期限) SQS 100万件
SES 100万件
CloudWatch 10 メトリクス、10 アラーム
Machine Learning 実験ごとに 100 モジュールと 1時間
Azure Search 1万ドキュメント、50MB
Automation 500分
Log Analytics 500MB/日
Face API 20トランザクション/分、30,000トランザクション
Bing Speech API 5,000 トランザクション
Translator Text API 200 万文字
Stackdriver 5GB (7日間保存)
Cloud Pub/Sub 10GB
Cloud Vision API 1,000ユニット
Cloud Speech API 60分
Cloud Natural Language API 5,000 ユニット
Cloud Shell

12ヶ月分の無料機能の金額で言うと GCP の $300 より、AWS・Azure の方が高いのですが (例えば EC2 Linux + EC2 Windows だけで年額 3万円を超えます)、いろいろ試せるという意味では GCP の方が使い勝手がよいように見えます。

12ヶ月以降についても、Compute Engine・App Engine を使える GCP がよさそうです。

個人的には「毎月2,000円までは請求なし」という、いろいろな機能を試したい人向けの仕組みが出てこないかなぁと思う次第であります。

全体系

  • AWS: リセラー経由での契約
  • Azure: EA 契約
  • AWS・Azure・GCP: 営業努力

AWS の場合、多くのリセラー (代理店) がいて、そこを経由すると安くなることが多いようです。例えば、 cloudpack で 3% 引き、 クラスメソッド でオンデマンド10% 引き だそうです。いずれも、本来は 15,000 USD/月 もかかる AWS エンタープライズサポートが利用できるようです。 お得なことは間違いないでしょうか、何か落とし穴はないんでしょうかねぇ。 土日夜間のサポートとかは要確認な気がします。

Azure の場合、リセラーが EA 契約で大量購入し、利用者に低単価で卸すという商流がありましたが、 2017年10月現在、EA 契約から CSP 契約 (定価) に移行する方針と噂で聞いたような気がします。

当ページ管理人の認識としては、Azure・GCP の場合、AWS のような値引きをしてくれるリセラーはいないという認識ですが、 もし存在したら教えてください。

「営業努力」について。 年間クラウド費用が数千万円や数億円以上が見込まれる場合、AWS も Azure も営業との交渉でお安くなるかもしれません。 ただし往々にして、「安くするけど前払いで」となります。 また、AWS も Azure も値引きせずに売れるようになっているためか、段々値引き対応が難しくなっている印象があります。 GCP はどうなのか全く情報がありません。

自動割引系

GCP には「継続利用割引」という仕組みがあります。 これは申込み不要で、1ヶ月の間にある程度使ってくれたら、 自動的に割引きしますという仕組みです。

具体的には下記のルールです。

  • 毎月、最初の 25% は満額請求。
  • 毎月、25〜50% は、80% 請求 (2割引)。
  • 毎月、50〜75% は、60% 請求 (4割引)。
  • 毎月、75〜100% は、40% 請求 (6割引)。

「最初の 25%」というのは、例えば「2017/09/01 0時〜2017/09/07 13時」ということです。 1ヶ月同じインスタンスを起動し続けた場合、上記が適用され、月の後半になればなるほど 請求額が安くなります。

ただ、「後半なんと 6割引!」と思っても、冷静に積算してみると毎月トータルでは 30% 引きでしかないことに注意です。 ただ、事前申請不要・自動計算で 30% 引きというのは大きいのではないでしょうか、

しかしながらいただけないのは、対象が Compute Engine と Cloud SQL のみであることです。 今後、App Engine や Bigtable・Datastore は対象外にも拡大してもらえると大変ありがたいですね。

なお、このような仕組みは AWS・Azure にはありません。

リザーブド系

  • AWS の EC2、RDS、ElastiCache、Redshift: リザーブドインスタンス
  • Azure の VM: Reserved Virtual Machine Instances
  • GCP の Compute Engine: 確約利用割引

AWS の EC2、RDS、ElastiCache、Redshift では、リザーブドインスタンスという仕組みで、 「しばらくこのインスタンスを使うことを約束するから、その分安くして」 という値引きがあります。

期間は 1年間と3年間で、1年間だと25%程度、3年間だと50%程度の値引きとなります。 停止していてもお金はかかります。

これは一見お得に見えるのですが、「リージョン・AZ・インスタンスサイズ・OS が固定」 という落とし穴があるのです。

たとえば t2.small のリザーブドインスタンスを 1年間分購入したが、 その2ヶ月後にアクセス数が急増し、t2.medium に変更したい、 となった場合、せっかく購入したリザーブドインスタンスは無駄になるわけです。

「いまどき 1年後を見据えたインスタンスサイズなど予測できない!」 という批判にこたえたのか、2016年9月より「コンバーティブル リザーブドインスタンス」というものが出てきました。

これは「他のインスタンスタイプにコンバートできますよ」的なリザーブドインスタンスで、 欠点を解消したものと考えてよいでしょう。 しかしながら依然として使いづらい点があります。 リザーブドインスタンスは 1年と 3年から選択可能でしたが、 「コンバーチブル」では3年しか選べないこと。 1年でさえ難しいのに、3年先までの予約というのは難易度が高い。

Azure の場合、2017年9月に AWS のリザーブドインスタンスと同様の 「Azure Reserved Virtual Machine Instances (RIs)」 を 2017年内に導入予定とのアナウンスがありました。2017年10月現在、まだ利用可能にはなっていないようです。 詳細は不明ですが、AWS リザーブドインスタンスとは違い、途中解約できるようです。

GCP では Compute Engine について「確約利用割引」というものがあります。 これは CPU のコア数とメモリ使用量について、「1年または3年の間これだけ使います」 というものを約束する代わり、最大 57% の値引きが行なわれるものです。 よって、n1-standard-16 などのマシンタイプはどれを使ってもよいし、 カスタムマシンタイプにも適用できます。 ただし、リージョンは固定で変更はできません。途中キャンセルもできません。前払いは不要です。 東京リージョンで n1-standard-16 の値引率を確認したところ、1年で37%引き、3年で55%引きでした。 確約利用割引と継続利用割引が複合するかは未調査ですが、普通に継続利用割引で 30% 引きになりますので、 複合した結果 56% 引きにならないと確約する意味がないと思っておりますが、真実はいかに。

なお、この確約利用割引に申し込むには、JSON ファイルを作って、 gcloud コマンドで API を叩くというものすごいやり方であるようです。 2017年10月現在ベータ版なので、GA のタイミングでコンソールから申込できるようになるんでしょうか。

スポット系

  • AWS の EC2: スポットインスタンス
  • GCP の Compute Engine: プリエンプティブ VM インスタンス
  • Azure Batch: 低優先度 VM

AWS の EC2 スポットインスタンスは、余ったリソースを安く使えるかわりに、 常に使えるとは限らない、突然落ちるかもしれない、というインスタンスです。 金額は入札式なので、変動します。一度利用できたとしても他の人が高い金額を提示した場合、インスタンスを奪われることがあります。 その場合 2分前に警告が出るので、安全にシャットダウンするような仕組みを構築する必要があります。 なお、その場合、停止状態にしておき、入札条件が再度整ったら再開することも可能です (以前は Terminate されていたのですが、2017年9月より Stop 状態にしておくことが可能になりました。 その場合、停止中も EBS 料金はかかります)。

いきなり終了されると困るという場合は、1〜6時間で継続期間を指定することで途中で奪われないように指定できますが、 値段は高くなります。なお、1時間より6時間の方が高いです。 2017年10月のある日の、東京リージョン、m4.large、Linux の価格は下記でした (変動しますのであくまで参考値です)。
オンデマンド $0.129/時間
スポットインスタンス $0.0198/時間 (84% 引き)
継続期間 1時間 $0.065/時間 (49% 引き)
継続期間 6時間 $0.084/時間 (34% 引き)

GCP の「プリエンプティブ VM インスタンス」も同様の思想で、最大80%引きの代わりに、 常に使えるとは限らない、突然落ちるかもしれない、SLA なし、24 時間経過すると必ず終了、というインスタンスです。 EC2 スポットインスタンスとは異なり、金額は固定です。

2017年10月の、東京リージョン・Linux の料金は下記のとおりです。

インスタンスタイプ 通常料金 (時間) プリエンプティブ料金 (時間) 値引き割合
n1-standard-1 $0.061 $0.013 78% 引き
n1-standard-2 $0.122 $0.027 78% 引き
n1-standard-4 $0.244 $0.053 78% 引き
n1-standard-8 $0.488 $0.106 78% 引き

AWS・GCP いずれも、スポット系の大幅な値引きは魅力的です。 しかし「いつ落ちても構わない」という処理なんて普通はないものです。 EC2 スポットインスタンスについては、 オンデマンドとスポットを組み合わせて autoscale したり、 CloudWatch から入札価格を取得して最適な入札価格を指定したりして、 本番環境で頑張っている人もいるので、ブログ等を検索してみてください。

Azure Batch にも、同様の思想の「低優先度 VM」というものがありますが、 これはあくまで Azure Batch のみで使用できるものです。

2017/10 に、東日本リージョンで Azure VM 通常料金と Azure Batch 低優先度 VM の料金を比較したところ、Linux で 84〜89% 引き、Windows で 65〜74% 引きでした。 最も安い A0〜A4 Basic では利用不可なことに注意です。

開発者・ベンチャー系

  • Azure: BizSpark で最大 $9,000 分を 1年間無料
  • Azure: BizSpark Plus で最大 $120,000 分を 2年間無料

Microsoft の BizSpark というスタートアップ支援の制度があります。 設立 5 年未満のスタートアップ、もしくは法人化を目指す起業家を対象に、Azure や Visual Studio Enterprise を 無償で提供するものです。 これに申し込んで審査に通れば、1年間有効な $9,000 の Azure クレジットがもらえます。 知り合いで審査に通った人がいますが、事業計画を見せろとか成果物を見せろと言われたわけではないようなので、 それほどハードルは高くないようです。

さらに上記ページの最下部に書いてありますが、BizSpark Plus という制度で、 2年間有効な $120,000 の Azure クレジットがもらえます。

その他

  • Azure VM の Windows Server: ソフトウェア アシュアランス付きの Windows Server を持っている場合、Azure Hybrid Benefit という仕組みを使って、Azure VM の Windows Server を Linux 相当の金額で利用可能

Azure VM は Linux より Windows の方が料金が高いですが、 これは Windows のライセンス料が含まれているためです。

Azure Hybrid Benefit (AHUB) とは、 すでにオンプレミスの Windows Server ライセンスを持っている場合、 それを Azure VM に転用することで、Azure 上での Windows ライセンス分を減額 (=Linux 相当の金額で利用可能) する仕組みです。

詳細は下記。

  • 対象は、ソフトウェア アシュアランス付きの Windows Server Standard エディション または Datacenter エディション
  • Standard エディションの場合、Azure に持っていった段階でオンプレミスで使うことはできなくなる。 Datacenter エディションの場合、Azure・オンプレミス両方で使用可能。
  • 各 2 プロセッサ ライセンスまたは 16 コア ライセンスの各セットを持っていれば、Azure にて最大 8 コアのインスタンスを 2 つ、または最大 16 コアのインスタンスを 1 つ利用可能。
  • 値引き対象は 2017年10月時点では、Azure VM の Windows Server。
  • Marketplace に下記のイメージがあるので、どれでも使用可能。Standard エディションを持っていても、Datacenter を利用可能。
    • Windows Server 2008 R2 SP1
    • Windows Server 2012 Datacenter
    • Windows Server 2012 R2 Datacenter
    • Windows Server 2016 Datacenter
  • ただし、SQL Database・Azure Reserved Virtual Machine Instances がまもなく使えるようになるとの予告あり。

最終的には「いくらかかるのか」です。

このページでは値引き・割引き方式について述べてきましたが、 10,000円の20%引きより 8,000円の5%引きの方が安いのはあたりまえ。

なんとなくのイメージで考えず、 結局のところいくらかかるのかを自分で計算しましょう。 特にリザーブドインスタンスの場合、 1年や3年の支払いを確約するということを 自身の立場や組織上、どう評価すべきかはよく考えてください。

夜間・土日の停止

開発用途のサーバにおいて、誰も使っていないであろう夜間や土日は停止する、という原始的な方法も案外バカにできません。

「月〜金は 09:00〜23:00 まで稼働させ、それ以外は停止する」 とするならば、稼働率は 42% です。つまり 58% 値引き。 さらに、祝日・年末年始・夏休み等まできっちり停止できると、 さらに5%程度は値引きとなります。

AWS・Azure・GCP とも、自動シャットダウン・自動起動を行ういろいろな方法はありますが、 Azure の VM の場合、自動シャットダウンが簡単に設定できます (2016年11月より)。

定義できるのは下記のみです。非常にシンプルです。 VM 作成時に設定することもできますし、後から変更することもできます。

  • 毎日何時に自動シャットダウンするか
  • 自動シャットダウンの15分前に通知を行うか
    • 通知を行う場合、通知を行う URL
    • 通知を行う場合、宛先のメールアドレス

翌日起動する必要があって面倒なのですが、開発環境などではとりあえず上げっぱなしを防止するためには有効ではないでしょうか。 なお、平日のみなど凝ったことをしたい場合は Azure Automation、AWS なら CloudWatch Event などを使います。

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